戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)世界的な「貧困化」の進行と労働組合の役割11/08/09
日本の「貧困」問題も深刻だが、世界のあちこちでも人々の生活は危機に晒されている。8日付『赤旗』の記事。「メキシコの貧困層 4年で1300万人増」「政府に批判『新自由主義の経済モデル転換を』の声」。政府機関「全国社会開発政策評価会議(CONEVAL)」の発表によると「収入が日常生活に必要な最低経費を下回っている」などの貧困層が5200万人に達したという。
社会主義を目指す国ベトナムでも、高インフレによる国民の貧困化が進んでいる。『赤旗』面川特派員の報道によれば「消費者物価は今年1月から7月までに14.61%も上昇し」「今年上半期だけで数百件のストライキが起きた。このうち83%が外資系企業だ」という状況らしい。
世界の経済を動かしているといわれるアメリカだが、国民の貧困ぶりはすさまじい。「米国の4500万人が空腹とたたかう」(8日付『赤旗』の時事通信配信記事)との見出しにはほんとびっくりしたね。アメリカ農務省の調べによれば、米政府の低所得者向け食料品購入補助制度(フードスタンプ)の受給者がこの5月現在で4570万人に達したというのだ。
このフードスタンプの受給資格は、1世帯4人家族で月額総所得が2389ドル(約18万7000円)を超えないことだそうだから、日本でいえば「年収200万」世帯というところか。この辺がいわゆる「先進国」の貧困境界線になるのかな。その境界線から脱落して貧困層に仲間入りする国民が、日本でもアメリカでもその他の国々でも年々増えているというのが世界の実態なのだ。
自由経済謳歌、市場原理第一の「新自由主義」は、世界的に見れば破綻しつつあるといわれているが、まだまだそうはなっていない。少なくともその後遺症はそう簡単には消えそうにない。原発を止めても核燃料棒は熱をもったままで、放射能汚染は孫子の代まで続くのと同じだ。
そこでやはり登場が期待されるのは労働組合だろう。新自由主義に色目を使ったり、企業の論理になびいたりしない「頑固な労働組合」が今こそ全世界で必要になっている。マルクスが提唱した「万国の労働者団結せよ」のスローガンは今も生きているとおれは思う。