戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)「日航 支配介入事件」都労委命令の意義11/08/06

[明日へのうた]より転載

 都労委が8月3日に交付した「日航 支配介入事件」の命令書を手に入れた。この事件は、昨年の11月に日航の乗員組合と客乗組合(CCU)がスト権投票を行っている最中、更正管財人が「争議権が確立したら3500億円の出資ができなくなる」と組合に対する脅迫発言をしたことの是非が争われたもの。

 発言の事実には労使双方争いはない。問題は、発言をした管財人が労組法上の「使用者」に該当するかどうかということ。会社は「管財人は事業経営権を有しているが同時に出資スポンサーの立場にもある。問題の発言はスポンサーとしての率直な意見開陳であって不当労働行為には当たらない」と主張した。

 労働委員会はこの会社主張に対して「確かに管財人が使用者の地位と出資予定者の立場を併有していることは認められるが、その区別は判然としていない。スポンサーとしての意見だとして不当労働行為を免れることはではない」と厳しく糾弾した。都労委の判断趣旨は明快である。

 さらに会社は「これらの発言があってもCCUはスト権を確立したではないか」といい逃れようとた。これに対しても都労委は「支配介入の成立に当たって、組合運営が妨害されたという結果の発生あるいは当該支配介入と評される行為との因果関係は必ずしも必要とされるものではない」と一蹴した。

 残るのは命令の交付先で、本年3月28日、会社更正手続きを完了して日航の管財人は解任されている。つまり不当労働行為の張本人は形の上では消滅したことになる。この問題でも都労委は「事業経営権は管財人から日航に移ったのであるから、本件不当労働行為に係る責任も日航が持つと考えるのが相当である」と厳しく判断し、日航宛の命令書を交付した。

 本命令の主文は①会社言動が都労委から不当労働行為と認定されたこと、②今後繰り返さないことの誓約を内容とした謝罪文を掲示(ポストノーチス)せよというもの。命令確定のあかつきには新聞紙2ページ大に墨書した謝罪文を「会社内の従業員の見やすい場所」に10日間掲示しなければならない。

 最後に指摘したいのは、今回の日航事件は申し立てられたのが昨年12月8日、それからわずか7ヶ月でこんなにすっきりした命令が出たことである。申立人、代理人、都労委三者委員、事務局など関係されたすべての皆さんに心からの敬意を表する。