戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)最低賃金の「中賃・目安答申」に思う11/07/28
中央最低賃金審議会(中賃)が2011年度の全国目安額を厚労相に答申した。上げ幅の最高が神奈川県の18円、以下東京16円、北海道13円、広島6円、埼玉5円、千葉、愛知、大阪が各4円で平均は6円。全国平均時給は736円になる。全労連などが要求している「全国どこでも時給1000円」には程遠い。
この目安答申について、全労連の小田川事務局長は「地域格差がさらに拡大し、生活保護費より低い問題の解決も先送りされた」「災害を口実に、ようやく始まった最低賃金と中小企業政策の底上げの流れを押しとどめかねない不適切な目安答申と言わざるを得ない」と批判。連合の南雲事務局長も「満足のいくものではない」と不満を表明した。大阪や神奈川では府県労働局前で抗議の座り込みが始まった。
今回、神奈川県が最も高い目安答申になつているが、これにはわけがある。神奈川労連は、神奈川県の最低賃金が生活保護費よりも低いとして神奈川労働局長に対し、「1000円以上の最低賃金を決定せよ」とする訴訟を横浜地裁に提起している。今年6月、神奈川労連の水谷議長から訴状案が送られてきたので丁寧に読んだがなかなかいい内容になっている。弁護団の労を多としたい。
今回の中賃・目安答申で神奈川をアップの筆頭にしなければならなかったのは、この「最賃裁判」への配慮があったのではないか。運動は起こした方が一歩先に行く。いろんな困難は予想されるがまず一歩足を踏み出すことが大切だ。これから神奈川の労働者は県労働局に対して猛烈なアタックをかけることだろう。
ここで問題にしたいのは、中賃も地域最低賃金審議会(地賃)も「公労使三者構成」になっているが労働者委員はすべて連合選出で占められていることだ。
もう30年前になるが「16条最賃」というのがあった。最低賃金法16条で産業別最賃の審議会が設けられていた。この労働者委員はいろんな潮流の労働組合から選出された。おれも74年度だったと思うが「印刷出版部会」の最賃審議委員として出たことがある。審議会の外の大衆運動と呼応して内部で審議委員の権限を行使して暴れまくった(少し大げさかな)。
中賃、地賃の労働者委員の連合独占は、労働委員会に匹敵するくらい害悪が大きい。全労連や地域労連が委員獲得へ向かって具体的な行動を起こすよう提起する。