戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)原発事故現場で労働者の連帯が芽生えた 11/07/25

[明日へのうた]より転載

 本日25日付『毎日』は、中面の見開きで「検証 大震災」「福島第1原発事故 収束作業」と題した特集記事を組んでいる。かなりシビアな内容だ。見出しだけ拾っても「俺たちに、ここで死ねということか」「労働者は使い捨ての機械ではない」「覚悟の苦闘黙々と続く」・・・と衝撃的だ。

 「(3月12日)午後3時36分、1号機で最初の水素爆発。協力会社の放射線管理員、松木清隆さん(56)は福島県双葉町の自宅付近にいた。遠くのモニタリングポストから順に警報音が鳴り出し、近づいてくる」「『ああ、フォールアウト(放射性物質が飛散)したな』。ふと思った。『双葉町は二度と住めない町になるかもしれない』」「(3月14日)午前11時1分、3号機の爆発。コンクリートの塊が降り、目の前の車2、3台が大破した。『もう少し早く乗っていたら俺たちは死んでいた』」

 3月24日に3人が被ばくするという事態が起ったが、2人は関電工、1人は恒栄電設(東京北区)の社員。危険な「収束作業」に従事しているのはほとんどが「協力会社」の社員だ。5月14日、60歳の大角信勝さんが「心肺停止」で急死した。大角さんは「スポット派遣」と呼ばれる全国の原発を渡り歩く作業員。今度福島に行くにあたって妻に「心配するな。給料も上がるから」と言い残したという。

 7月21日現在、作業員は全部で2894人。そのうち東電社員は374人で「協力会社」からの派遣が圧倒的だ。そもそも東電社員は従来も原発の現場では働いていなかった。定期検査などの危険な作業は「協力社員」に任せてきた。ところが、今回の事故以後は東電社員の姿勢が変わってきたという。

 「20代の東電社員は年配の作業員にも敬語を使わないし、作業も下請け任せ。ところが、ケーブルを引く作業をしていると、東電社員が『手伝います』という。『こっちがびっくりしたよ』」。東電社員が一緒に汗を流し、同じように休憩をとった、と下請け作業員は戸惑いながらも労働者同士の連帯感を感じているようだ。

 「でも、普段やってない人に任せるのは、かえって危ないんだよ。一番かわいそうなのは東電社員かもしれねえな」(ベテラン作業員64歳)。――こんな状態を引き起こした東電や政府首脳は、相変わらず保身のために右往左往しているが、事故現場の労働者は連帯して苦難に耐え、なんとか収束させたいとがんばっている。その実態を記事にした『毎日』に拍手を送りたい。