戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

この際思い切って五輪は返上したらどうか 19/01/13

明日へのうたより転載

 やっぱり薄汚れた2020東京五輪だった。「竹田会長15日会見」「五輪招致疑惑 IOC危機感受け」(13日付『毎日』)。日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長が仏司法当局に贈賄容疑で聴取された。これを「ゴーン逮捕の仕返しだ」という奴がいるようだが、そんなことではあるまい。

 フランスの動きを見て国際オリンピック委員会(IOC)も調査に着手した。問題は国際的に広がる様相を呈してきた。何が何でもオリンピックを東京に持ってくるという、とにかく汚い手口なのだ。五輪開催が決まる2013年前後に2回、日本招致委からシンガポールのコンサルタント会社に2億2000万円が振り込まれた。この会社は招致に権限を有する国際陸連前会長のせがれが関係していた。

 当の前会長はロシアのドーピング疑惑のもみ消し料として金銭を受け、IOC委員を首になった男。リオデジャネイロオリンピックでも汚い金を受け取っている。金を渡したブラジルオリンピック委員会の会長は警察に逮捕されているというからもう金にまみれた暗黒の世界なのだ。

 さて今回の竹田会長の疑惑だが、彼一人にとどまらないだろうとおれは思う。安倍首相はじめ政権幹部も悪事に加担しているはずだ。それから広告会社の電通だ。五輪招致が純粋に「平和とスポーツの祭典」などと言われたのは大昔の話。今は経済効果つまり金もうけのためのイベントなのだ。

 東京五輪を決めるIOC総会で安倍首相は「原発事故による放射能汚染は完全にアンダーコントロールされている」と堂々と大ウソをこいた。電通は五輪歓迎の世論づくりを一手に担ってい活動した。オリンピックに巨額を使うなら国としてもっとやることがあるだろう。そういう声を踏みつぶして暴走した。

 「命にかかわる暑さに用心」と言われる日本の真夏。過酷な殺人レースを選手に強いる安倍首相、小池都知事たち。もうやめてくれと言いたい。13日付『赤旗』スポーツ面で勝又秀人記者は「大会運営の中枢に不正と汚職の疑惑がくすぶったまま本番を控える現状は、あまりに残念で空しいといえます」と嘆くが、「残念でむなしい」なんてものじゃない。ここはきちんと「五輪はダメ」と言うべきではないか。

 いずれにしても、「もうここまで準備が進んでいるから」とか「金もかかっているし」とかのは既成事実絶対論を捨てて、今こそ五輪返上を安倍や小池に決断させようではないか。