戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)公契約条例による野田市の公共事業落札
10/08/31

[明日へのうた]より転載

 31日付『毎日』千葉版に興味深い記事があった。見出しは「『官製ワーキングプア』解消目指し」「初めて工事発注」「野田市、公契約条例で」。昨年9月、全国に先駆けて「公契約条例」を制定した千葉県野田市で、この条例に則った工事契約が結ばれたという内容だ。

  条例では、1億円以上の建設工事と1000万円以上の業務委託が対象になる。今回のは、「都市計画道路改良工事」で、地元の建設会社が1億1130万円で落札した。落札にあたって市は、入札希望の5社に対して「労働者配置計画書」の事前提出を求め、国が定める職種別労務単価を下回らないことを確認した後入札させた。

  落札した地元建設会社に対しては、「実際に現場で働く労働者が決定した段階で、労働者支払い賃金報告書の提出を義務づける。このことにより市は、①発注した業務の質を確保し、②適正な労働条件によって公共事業の社会的責務を果たすことができるとしている。

 問題は、「国が定める職種別の労務単価」なるものが「適正な賃金」としての条件を満たしているかどうかということになる。今回の工事の場合では、普通作業員1330円、一般運転手1550円などが適用される。業務委託では、県の地域最賃720円が基準になるが野田市はそれを上回る829円に設定している。いずれにしても業務間賃金格差が大きいことが問題視される。

  野田市はさらに、①職種別最低賃金を市独自に設定、②下請負者への適正な請負額の確保、などを織り込んだ条例改正案を考えているという。

  野田市の公契約条例は、千葉土建などのねばり強い運動で実現されたもの。条例はつくられてもその適用には困難性もあると言われてきた。今回の工事落札は、条例に命を吹き込むものであり、全国自治体に与える影響も大きい。建設労働者に励みを与えるものでもある。久々に労働運動の手ごたえを感じさせるニュースだ。