戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

来年のメーデー、天皇行事のごり押し許すな  18/10/15

明日へのうたより転載

 現天皇の退位と新天皇の即位まであと半年になった。政府は即位の日を5月1日とし、臨時祝日とするという。5月1日はいうまでもなく労働者の祭典メーデーの当日である。世界中の労働者が集会・デモでたたかう決意を示す日だ。なんでそんな日に即位をぶっつけるのか。政府の意図は何なのか。

 そもそも天皇とメーデーは相性が悪い。戦後はいろんな紛争があった。その一つが1946年5月19日に起こった「プラカード事件」である。この日皇居前広場で通称「食料メーデー(米よこせメーデー)」、正式には「飯米獲得人民大会」が開催された。この会場で参加者の1人松島松太郎さんがこんなプラカードを掲げた。「ヒロヒト 詔書曰く 国体はゴジされたぞ 朕はたらふく食ってるぞ ナンジ人民飢えて死ね ギョメイギョジ」。松島さんは不敬罪で逮捕されたが、結局免訴になった。

 もう一つは1952年5月1日の「血のメーデー事件」である。戦後50年までは、皇居前広場はメーデーをはじめ国民的なたたかいの場所として使われ、別名「人民広場」といわれてきた。ところがアメリカ占領軍(JHQ)の命令で51年から使用禁止となる。52年の第23回メーデーも主催者の強い要望にかかわらず、皇居前広場の使用は認められず神宮外苑絵画館前で行わざるを得なかった。

 「メーデー事件は、デモ行進の解散地点である日比谷公園に着いた参加者が、政府の不当な使用禁止に対して抗議の意思をあらわすため、自発的にすぐ隣にある『人民広場』に平穏に集まったところ、治安立法の口実に『騒擾事件』を企図していた警視庁警官隊が一斉に警棒で殴りかかり、催涙ガス弾、拳銃弾を発射するなど、死者2人、1500人の重軽傷者を出した事件です。このとき1232人が逮捕され、261人が『騒乱罪』として起訴されましたが、72年11月、東京地裁は騒乱罪全員無罪を言い渡し、確定しています」(08年5月1日付『赤旗』に掲載された解説記事)。

 来年のメーデーについても、会場の代々木公園や日比谷野音を貸さないとか、デモ行進を許さないとかの政府・自治体からの妨害が予測される。即位の日にデモをやられるのが嫌ならほかの日に設定すればいいのだ。こちらは130年も前から決まっている世界的行事なのだ。後から割り込んできて「迷惑だからお前が止めろ」はないだろう。これから議論が激しくなるだろうが、筋は通さなければならない。

 明日16日から3日間、たまたま会「こてこての大阪」旅行だ。昔新聞労働運動をともにたたかった全国の仲間に会えるのが楽しみだ。串カツ料理や大川クルーズを堪能してこよう。