戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

日本艦船は旭日旗を降ろすべきだ 18/10/11

明日へのうたより転載

 韓国・済州島沖でこの10日から行われている「国際観艦式」に、当初参加予定の海上自衛隊が艦船派遣を取りやめた。韓国側が自衛隊旗「旭日旗」の掲揚自粛を求めてきたことへの反発である。ネットの反響を見ると「日本の主権蹂躙だ」「国際的にも通用しない」などの韓国批判が大半だが。

 そもそも旭日旗は明治維新直後に制定された大日本帝国陸軍旗で、後に海軍の軍艦旗にもなった日本軍国主義を象徴する旗である。あの203高地や旅順港などの日露戦争の激戦地に翻っていた。日中戦争、太平洋戦争でも日本軍のあるところ必ず旭日旗があった。戦後も自衛隊旗、自衛艦旗として受け継がれている。単なる「旗」ではない。日本や近隣諸国の人民の血を吸っているのだ。

 旭日旗というと5年前に経験した嫌な思い出がある。2013年9月、新聞OB九条の会で広島・岩国を巡るツアーを実施した。おれがツアーの団長である。ツアーの3日目に江田島の旧海軍兵学校を見学。広大な敷地に当時と同じ建物・施設が並び、今でも自衛隊の訓練が行われている。

 見学はあらかじめ防衛庁に申し込む必要がある。新聞OB会として申し込んだのだが向こうは警戒してこちらの素性を調べたらしい。海上自衛隊OBのガイドで見学を始めると、黒い背広姿の目つきの鋭い男が2人我々の列に入ってきた。遠くを撮るふりをしてこちらの動向をカメラに収めている。

 おれはおかしいとは気が付いたが事を荒立てるのはまずいと思い黙っていた。見学がほぼ終わると2人は姿を消した。最後、ガイドに連れていかれたのは頑丈で大きな講堂だった。正面に日の丸と交差して掲げられていたのが旭日旗である。ガイドは旗をバックに記念写真を撮れという。グループが並び始めたところでとうとう我慢しきれなくて「おれは嫌だよ。こんな旗を背景に写真なんか撮れるか」と拒否した。

 ガイド氏は明らか不満顔。今までこんなことはなかったのだろう。おれの言葉に従ってグループは写真を撮らず外へ出た。おれたちが外へ出るのを待っていたように講堂の重い扉が閉められた。

 戦時下の従軍慰安婦、強制労働問題がいまだに日韓の間にわだかまっている。問題の根源は日本の朝鮮侵略・植民地化であり、それを武力で推し進めたのが日本帝国軍隊なのだ。その象徴が旭日旗だとすれば今回の韓国の言い分は至極もっともと言わざるを得ない。自衛隊艦船が参加しようとするなら旭日旗を降ろすべきだ。