戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)南アフリカでの労働者のたたかい
10/08/22

[明日へのうた]より転載

 サッカーのワールドカップで沸いた南アフリカで、今度は労働組合が燃えている。19日付『赤旗』によれば、南アの警察官、税関職員、教員、医療労働者など130万人の公務員を傘下におく労働組合共闘組織が賃金引上げを要求して18日から無期限ストに入ったという。組合側の要求は、8.6%1000ランド(約1万1700円)の賃上げ。政府側の第2次回答は7%の賃上げと700ランドの住宅手当引き上げで、ストはこれを不満とするもの。

  南アでは昨年、金、プラチナなどの鉱山部門の労働組合がストを決行し、インフレ率を上回る賃上げを実現。今年5月には、南ア最大の運輸グループ「トランスネット」で3週間のストの結果、11%の賃上げを獲得した。さらに国営電力会社「エスコム」でも9%の賃上げで労使合意している。

  22日付『赤旗』は、自動車産業の労働組合「南ア全国金属労働組合(NUMSA)」が8日間のストをやりぬき、「今年10%、来年から再来年にかけて9%の賃上げを行う」という賃金協定を結んだことを報じている。ストは、トヨタ、フォード、フォルクスワーゲン、ゼネラルモータース、日産、BMW、ダイムラーなど外資メーカーに影響を与え、南アの年間自動車生産可能台数42万台のうち1万5000台を生産不能に追い込んだという。

  おれなんかはこういう報道に接するとサッカーよりもわくわくしてしまう。長年の白人支配から脱却して労働者の権利主張がばっと花咲いた感じだ。南アフリカ共和国は経済的にはこれからという国のはずだ。「労働者の大幅賃金引上げが国(企業)の将来を危うくする」といった議論も当然あったと思われる。そんなおためごかしの議論を吹き飛ばす労働組合のエネルギー。それは豊かな社会を目指す国づくりの底力だと思う。

  いま、先行きの見えない閉塞感に陥っている日本経済。それを活性化させる唯一の道は労働組合の頑固なまでのたたかいなのではなかろうか。まさに「たたかってこそ明日はある」のだ。