戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

「ケチって火炎瓶」のSNS拡散に思う 18/09/04

明日へのうたより転載

 「ケチって火炎瓶」という情報がSNSで超拡散している。1999年に行われた下関市長選挙で安倍晋三事務所が暴力団に反安倍系候補を中傷するよう依頼、500万円の謝礼を約束した。ところがそれを300万円に値切ったことから暴力団側の怒りを買い、安倍晋三自宅に火炎瓶らしきものを投げ入れられたというもの。これは新聞記事にもなり、犯人の暴力団員は逮捕され裁判で有罪が確定した。

 今年7月17日の参議院内閣各委員会で、自由党の山本太郎参議院議員が安倍首相に直接質問している。首相は「えー、あの」を連発しながら「私は恐喝された被害者で加害者は有罪判決が下りて処罰されている。私には関わりない」としどろもどろの答弁で逃げまわった。

 この安倍首相と暴力団の関係をずっと追ってきたのがジャーナリストの山岡俊介氏だ。1959年生まれで、「武富士」会長を塀の中に追い込んだ実績を持つ。「週間金曜日」7月20日付で、やはりフリージャーナリストの寺澤有氏と対談している。タイトルは「安倍晋三議員(当時)自宅放火未遂事件を追う」「反社会的勢力使った選挙妨害工作の真相と決定的な3通の『念書』」。

 そして自民党総裁選、安倍圧勝が大手メディアで振りまかれている。しかしネットの世界では「これで安倍3選は難しくなった」との声が圧倒的だ。ほんとに3選阻止に結び付くかどうかは別として、安倍陣営のキズになっていることは間違いない。安倍陣営にとって山岡氏はうるさい蠅だ。

 その山岡俊介氏が8月7日夜9時頃、地下鉄新宿駅に降りる階段の上段から転落して全治1か月の大けがをした。本人は「当時、私は酔っていたわけでも、体調が悪かったわけでもありません。体力には自信がある方ですから、普通なら踏ん張ったり何かにつかまろうとするはず。ところが、救急車を呼んでくれた方によると、前倒するように上から下まで真っ逆さまに転げ落ちたといいます。私は過去に脅迫状を自宅に送り付けられたこともありますから、今回の一件も何かしらの力が働いたと疑わざるを得ません」と述べている(8月31日付『日刊ゲンダイ』デジタル版)。

 この山岡氏の事故について「国境なき記者団(RSF)」は8月28日、「日本は、首相とヤクザの関係を調査するジャーナリストの不審な転落事故を捜査しなければならない」という声明をだした。ひょんなことから安倍一強が崩壊するきっかけになるかも知れない。