戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)派遣を有期雇用に切り替える「日産」
10/08/21
日産自動車がこの10月から事務系派遣社員を段階的に直接雇用に切り替えていくそうだ。直接雇用といっても有期の契約社員だから、非正規社員におんぶする生産体制は本質的には変わらない。日産の事務系派遣社員は現在700~800人。今後はこれを半年契約、最長2年11ヶ月の契約社員にしていく方針。すでに募集を始めたそうだ。現在働いている派遣社員の処遇については不明。新たな派遣切りの不安も広がっている。
総務省が17日に発表した「4~6月平均の労働力調査」によると、全雇用者のうち非正規社員は1743万人で前期比58万人増。ただし増えたのはパート・アルバイトで、派遣社員は15万人も減っているそうだ。
18日付『毎日』で労働弁護団の棗一郎弁護士は、日産の「派遣から有期雇用への転換」について「企業はこれまで責任も義務も伴わない派遣労働者を使ってやりたい放題やってきたが、規制強化の流れの中で、メリットが薄れたのだろう。派遣法改正を機に、同様の動きは増えるだろう」と指摘している。
いずれにしても雇用環境がますます不安定になっていくことは確かだ。雇用が不安定だということは、労働者の生活が不安定だということ。人生計画が立たないということだ。たとえば。一生一度の買い物といわれるマイホーム購入などは躊躇せざるを得ない。結婚、子育て、老後の生活設計なども目途が立たない。
定年まで働ける正社員を対象にした日本の企業別労働組合にも深刻な影響をもたらさざるを得ない。労働運動のウィングを非正規労働者に広げることは無論大切だが、それだけでは即効性はないように思う。前回のブログで日弁連の「有期雇用規制提言」を取り上げたが、労働組合自体がこの問題に主体的に取り組む姿勢が要求されているように思う。