戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

真夏の夜のパソコン故障 18/08/01

明日へのうたより転載

 8月になった。声がガラガラだ。多分一晩中つけているエアコンのせいだと思う。熱がでたり咳がひどいわけではないので悪性の夏風邪ではなさそうだが、電話するにも支障をきたしている。昨夜どのくらい声が出ないか試してみた。「あいうえおかきくけこ」は低音でガラガラ声ながら何とか言えた。

 次に「旅姿三人男」を歌う。「清水港の名物はお茶の香りと男伊達」ここまではなんとか歌えた。次の「見たか聞いたか・・・」が出ない。声が裏返って無理に出そうとすると苦しい。そのうち「なんでおれはこんな馬鹿らしいことやってんだ」と思い当たって小便をして寝た。

 深夜午前2時、例によって目が覚めてしまう。寝る時は大抵酔っぱらっている。3時間も眠ると酔いが醒めて眼も覚める。一度目が覚めてしまうとなかなか寝付けない。そこで冷たい麦茶を飲んでパソコンに向かった。インターネットエクスプローラーをクリックしたら「ネットワークに接続されていません」。

 画面の右下にあるインターネットアクセスの扇型の標識が消えて×が点いている。以前やはりインターネットにつながらなかった時、ここをクリックして接続したことがある。以前と同じ画面が出たので「接続」という文字をクリックした。以前はそれでつながったのだが今回は駄目だ。

 画面の細長い枠へ「ネットワークセキュリティ」を入力しろという。この「ネットワークセキュリティ」というのが何のことか分からない。試しにメールアドレスやなんやかや思いつくものを次々入れてみたがもちろん無駄骨。トラブルシューティングというのを開いてそこで指摘されていること、例えば機器の電源や接続コードの点検などもしたが全部空振り。もう意地になる。気が付いたら午前4時だった。

 翌日、思い余ってパソコンを設定してくれた甥っ子に助け舟依頼の電話をした。おれのくだくだした事情説明を聞いていた彼は「トラブルシューティングの言ってることはすべて無視していいです。おじさん、テレビの脇の本棚の隅にルーターがあるでしょう」という。受話器を持ったまま探したらルーターなるものがすぐ見つかった。コードが何本もつながっているA5版くらいの薄い器具だ。

 「その裏に記号が書いてあるはずです」というのでルーターの裏を見たら「pr500-d3b7be-1」という記号とそれに対応する13字の半角英数字が「暗号」として記されてあった。「それをネットワークセキュリティの枠に入力して接続をクリックしください」と甥っ子。その通りにしたら見事にインターネットがつながった。おかげでこうやってブログを更新している。持つべきはパソコンに詳しい甥っ子だ。