戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

明乳争議の解決機運を国会で 18/07/20

明日へのうたより転載

 昨日衆議院第二議員会館で開かれた明乳争議団の院内集会に参加してきた。11:30からという暑い盛りの半端な時間だというのに120人も集まり立ち席も出る盛況だった。院内集会だから「争議解決」をメインテーマにするわけにはいかず、表面上は学乳異臭などの真相究明を求める集会となっていた。

 日本共産党の山添拓参議院議員の報告があった。山添議員は今年の4月13日、消費者問題特別委員会で明乳の度重なる不祥事について質問している。その時の議事録が資料として配布されていたが、よく事実を調べて、社会的責任を有する食品企業としての明乳のあり方を問う鋭い質問だ。

 学校給食に異臭のする製品を提供したなどは食品会社として失格と言われても仕方ない。このような明乳の企業体質は、社内の従業員に対する働かせ方の異常さに起因している。だからこそ明乳争議は33年も続いているのだ。40年勤続の定年退職者が新入社員とほぼ同じ職分だなんて他の会社では考えられない。

 山添議員の質問は消費者問題特別委員会なので難しかったのだろうが、明乳の度重なる不祥事と過酷な労務管理の関係を国会でも取り上げてもらいたかった。山添議員の質問の後国会は「働き方改革法案」の審議で与野党の対決が高まったのだから、何らかの形で明乳の異常労務管理を追及できなかったか。

 明乳争議は今何度目かの対決局面にきている。「対決局面」は一字違いで「解決局面」に転換することも可能だと言える。中労委命令に対する行訴が結審し、11月29日に地裁判決が予定されている。審尋に入る前、裁判長は会社に和解勧告をしたが会社はけんもほろろに断った。裁判長は判決しかないと判断したのだろうが、何らかの情勢変化で和解になればそれに越したことはないと思っているに違いない。

 このような場合、労使の何らかの接触で解決への動きが見いだせれば一番いいのだが、今の状態ではほぼ絶望的だ。別の強力なショック療法が必要となる。それが国会であることはまったく可能性ゼロとは言えないのではないか。かつてJR争議は国会の動きの中で解決の糸口をつかんだ。今労使の解決交渉に入っているJALの解雇争議も国会での質問がジャブのように利いているとおれは考える。

 地裁判決まであと4ヶ月余、33年争議の解決を願っているのは争議団ばかりではないはずだ。社員、OBの中にはもちろん、経営陣の中にももうそろそろ矛を収める時期と思っている人間がいるに違いない。なにかきっかけがあれば大きく動く可能性がある。そのきっかけの一つが国会なのではないか。猛暑の中院内集会の熱気を全身で感じながらそんな期待を持ったのだが無理だろうか。