戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)「有期労働契約」についての日弁連意見書 10/08/17
厚生労働省が今年3月に発表した「有期労働契約研究会 中間まとめ」については、日本労働弁護団が4月30日付で「見解」をだしているが、このたび日弁連も「意見書」をまとめた。その内容が、8月17日付『赤旗』で紹介されている。
「意見書」は、まず「期間の定めのない雇用が原則(無期原則)」で有期労働契約は「合理的理由がある場合」に制限(入口規制)すべきであると主張。「合理的理由」と認められるのは、①休業する労働者の代替として雇用される場合、②業務の性質上、臨時的、一時的なものであることが明らかな場合に限られる。「解雇規制の潜脱」や「景気の調整弁」を目的としてものは認めない、というわけだ。
また「無期原則」の労働者と有期雇用の労働者間の賃金格差を認めず、同一労働同一賃金の原則を適用させることも提言。賃金格差の事実が労働者によって立証された場合は、使用者に「格差の合理性」を立証する責任を負わせる。「臨時工だから賃金格差は当たり前」という使用者の言い分は許されなくなる。
他にも、「解雇権乱用法理の立法化」「権利性、実効性のある正社員転換制度の早期実現」などを要請している。この日弁連意見書は、労働組合や争議団のたたかいの武器にできうる内容だと思う。日弁連は、労働側の弁護士だけでなく使用者の利益を擁護する経営法曹も含まれている組織だ。そこでまとめられた「意見書」なのだから重みがあるはずだ。
問題は、法的な権利が労働運動にどう生かされるのかということだと思う。裁判所(労働委員会)では勝てても職場では経営者に手も足も出ないということでは「権利」は死んでしまう。そこをどう突破するのか。労働運動の真価が問われている。