戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

バリ島のお盆・ガルンガン 18/05/30

明日へのうたより転載

 バリ島は住民の9割がヒンズー教だ。ヒンズー教はワク歴という210日で1年の暦を使う。ガルンガンは1年の区切りを祝う日でいわば正月みたいなもの。1年といっても西暦と比べると短いので西暦の1年の間に2度ある年もでてくる。今年は今日5月30日に当たったというわけだ。

 ガルンガンはは故事で世の中の善が悪に勝利した日ということになっている。勝利を祝って先祖の霊が各家庭に帰ってくる。各家々ではご馳走を作ってご先祖を迎える。帰ってきた先祖は10日後にまたあの世に旅発つ。その日をクニンガンという。奇しくもおれがバリを発つ日だ。

 今朝、朝食の後にボクちゃんがおれにお祀りの正装を着せてくれた。短パンの上からスカーフを巻き、真ん中に派手な布を垂らしてギュッと縛る。スカートをはいたようだ。上は日本から来るとき着てきた長袖のワイシャツ。頭はターバンのようなものを被って帽子替わり。鏡に映したらサマになっていた。

 9時半にストウさんがやってきて、光森夫妻とおれを車で村はずれのお寺に連れて行ってくれた。お寺の境内はお祈りをする善男善女で一杯。日陰を選んで腰を下ろす。坊さんが鈴を振りながらお経を始める。合図があって参列者も手を合わせる。その時花びらを指に挟む。それを何回か繰り返した後何人かのお坊さんやお寺関係者が手分けして聖水をかけて歩く。手に聖水を受けて飲む真似をし、それで終わり。

 2つのお寺をはしごして同じセレモニー。強い日差しにもう勘弁してくれ、という気になる。小便もしたくなる。11時半前にストウさんの家へ。入口は狭いが奥行きが深い。親族が6世帯で住んでるそうだ。ここで奥さんの手料理をご馳走になった。辛い鶏のスープをご飯にかけて食う。美味だ。

 食い残したサテ(やきとり)や豚肉、果物、お菓子をお土産にもらって12時過ぎにストウさん宅を去る。そういえば7年前の2011年7月にもガルンガンに当たりお寺参りとストウさん宅での会食をしたな。あの時は孫の凌が3歳で、お寺の雰囲気でトランス状態になり火が付いたように泣き出したっけ。

 ちなみにストウさんは2年前までこの村の村長さんをしていた。今日お詣りしたお寺の改装に骨を折った。いわば村の顔役である。おれとは16年の付き合いだ。竹にきれいな飾りを施したペンジョールの林立するスウェタ通りをビラビンタンに向かったのでした。