戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)米中政府が共に掲げる「格差是正」の旗印 10/08/08
「米、金持ち優遇脱却へ」(『赤旗』8月6日付7面)との記事。ブッシュ大統領時代に制定された「年収25万ドル以上の高額所得者への特別減税措置」が今年末で時間切れとなる。ガイドナー米財務長官は4日、「必要とする処方箋ではない」として減税継続を否定したという。
アメリカで年収25万ドル以上は2%、それらの高額所得者の減税に年間300億ドルも国費から投入している。この金額を「中間層向けの減税や中小企業の投資促進に使用することが、景気回復により効果的である」(議会調査局の提案)というわけだ。国民の格差是正に真剣な一歩を踏み出したものと評価できる。
一方、格差拡大が社会問題になっている中国でも新たな動きが芽生えている。8月8・15日合併号の『赤旗日曜版』24面の特集記事。「各地で最賃引き上げ」「中国 格差是正に挑む」「同一労働同一賃金の条例案も」。これらの動きは、今年3月の全国人民代表大会で「格差是正」が強く打ち出されたことの反映だそうだ。
「今年上半期は、各地で賃上げを正面に掲げたストライキや争議が多発。最低賃金引き上げの流れを強める要因になりました」「広東省の日系企業ホンダでの5月から7月にかけてのストは『外資企業なのに自分たちの賃金は省の最低賃金程度だ。なんとかしてほしい』と求めたものでした。この企業では約370元の賃上げが実現しました」「中国政府はいま、年内に公布される予定の『賃金条例』案の最後の詰めをしています」
世界最大の資本主義国と「社会主義を目指す」13億人の中国が、同じ「格差是正」を掲げてそれなりに奮闘しているのは歴史の進歩にとって有意義なことだと思う。消費税値上げで庶民から税金を取り上げ、大企業減税に回そうとしている日本とは根本的に異なる発想だ。おれにはこの違いは労働運動の強弱がもたらしているように思えるのだがどうだろう。