戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

トランプは正気に戻ったのか 18/05/13

明日へのうたより転載

 トランプと金正恩に世界中がかき回されているように思える。世の中、一寸先には地獄もあれば極楽もある。別に何があってもおかしくないが、今年になってからの変貌の激しさにはついていけない感じもする。そりゃあ武力の衝突より話し合いの方がいいに決まっている。それにしても、つい半年前までこの2人はどういう仲だったのか。おれの知る限りでは人類史上最も険悪な間柄だったはずた。

 2017年9月、トランプが国連総会で痛烈な金正恩批判の演説をしたのに対して金は「世界の面前で私と国家の存在自体を否定して侮辱し、我が共和国を滅ぼすという歴代で最も凶暴な宣戦布告をしてきた」「国家と人民の尊厳と名誉、そして私自身の全てを懸け、我が共和国の絶滅を喚いた米国執権者の暴言に代償を払わせる」と猛反発した。言葉だけでなく米国に届くミサイルをぶっ放したのだ。

 これに対してトランプも負けてはいなかった。「チビのロケットマンは不気味な犬ころだ」「北朝鮮は人が住むに値しない地獄だ。(金正恩は)国民を飢えさせ、殺すことを気にも留めない狂った男だ」。そしてこちらも空母まで動員した大掛かりな軍事演習という脅迫行為にでた。

 それがどうだ、今や抱きついてキスをしかねない。トランプに至っては金正恩を「高潔な信頼に足る人物」と持ち上げる。6月12日にはシンガポールで2人が親密な話し合いに入る。シンガポールは金正恩の兄金正男が暗殺されたマレーシアの一部みたいな都市国家だ。警備は厳重だろうが大丈夫なのかな。

 このトランプの心変わりが変に評価されてノーベル平和賞の声まで上がっている。もっともノーベル賞の声がかかったとたんにイランの核合意から離脱すると言い出すあたり、いかにもトランプ流だけどね。

 トランプ流といえば、彼の流儀というか考えの本元はどこにあるんだろう。おれの頭にはトランプが大統領に当選した直後に発した映画監督のマイケルムーアの言葉が浮かんでくる。「彼はどんな思想も持ち合わせていない。彼が唯一信じるのは、ドナルド・トランプ(自身)だけだ」。そうなんだよな。トランプのやり方は思想や良心とは無縁なんだ。自分のやりたいようにやるというパフォーマンスだけのような気がする。決して正気に戻ったわけではない。

 今度の米朝会談でトランプの再評価をする向きもあるが、おれは反対だ。やはり米国民の良識においてトランプを大統領から引きずり下ろすべきだと考える。皆さんどうだろうか。