戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)雇用不安に苛立つアメリカ版「秋葉原事件」 10/08/05

[明日へのうた]より転載

 アメリカのオバマ大統領が就任して1年半が経過、この秋には中間選挙が行われる。「チェンジ」を掲げたわりにはアフガンへの兵力増派などマイナス面が目立つ。特に世界金融危機の克服問題、中でも雇用対策が遅れていることに米世論は不安と不満で苛立ちを見せている。
 
  8月4日付『赤旗』7面の「オバマ米政権18ヶ月」によると、07年12月から今年6月までに790万人の雇用が減少しているという。6ヶ月を超える長期失業者が575万人で、99週間も仕事に就けない労働者が140万人もいるというのは驚きだ。「いったん職を失うとその状態から抜け出すことがむずかしくなってることを示しています」「失業後フルタイム雇用に復帰できずやむなくパートタイムで働いている」(『赤旗』記事)。

  そんな雇用不安が原因したのではないかと思われる銃乱射事件も起こっている。コネティカット州の町マンチェスターの飲料卸売会社で同社に勤務する男が銃を乱射、3人死亡、2人負傷、本人はその場で自殺。犯人の34歳のトラック運転手は、倉庫内のビールを盗んだ疑いで解雇か自主退社を迫られた直後、犯行に及んだという。ちょっと形は違うが例の秋葉原殺傷事件に似ている。

  日本でも、厚生労働省が3日に発表した「労働経済白書」によれば、相変わらず非正規雇用が増えており、「雇用者間の格差が拡大した」と指摘している。パートや派遣は年を重ねても昇給せず、45歳以上の年代では正社員との間にほぼ2倍の格差が生じる。この賃金格差は大企業にとっては旨みたっぷりで、「相対的に賃金の低い者を活用しようとする人件費コスト抑制志向がつよかった」(同白書)ということになる。

  アメリカも日本も雇用情勢は似たり寄ったりというところらしい。そこで大事なのは労働組合の奮起ということになるが、おれにはアメリカの右翼的と呼ばれる労働組合の方が、雇用不安や賃金切り下げに、頑固に抵抗しているように思えるのだが実態はどうなのだろう。