戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)ハンガリー 中道右派の大統領誕生
10/07/20

[明日へのうた]より転載

 6年間使った富士通のノートパソコンが突然画面停止するようになり、ついに買い換えた。デスクトップ型で画面は横長、キィボードの並びも違うので慣れるまでは少しまごつく。

  先週号の『週間金曜日』。「ハンガリー ポピュリズム路線で政権奪取した中道右派政党が経済再建で迷走」という記事。6月29日に行われた大統領選挙で、元オリンピック選手のシュミット・バール氏が当選したが、彼は「キリスト教的価値観」重視の新憲法制定を主要課題に掲げているという。

  おれは、井川旅行団の一員としてハンガリーを何度か訪問している。最初は東欧圏崩壊直後の1992年、次いで2001年、03年、06年の4回だ。92年の時は社会体制の変革に浮かれ気味だった。国内を案内してくれた井川君(元東京都労働委員会労働者委員)の知人たちは「自由主義万歳」「市場経済歓迎」と希望を語っていた。おれが「資本主義的自由とは貧困の自由だ。社会主義を全面否定するのは正しくない」などと言うと「あなたは共産主義の社会を経験していないからそんなのん気なことを言うのだ」と厳しく反論された。

  井川君の知人は、国会議員を兼ねている市長さんや政府の在日観光大使たち。彼らは、当時政権を握っていた中道左派の社会党をしばしば批判した。「社会党の中枢は共産主義時代のハンガリー労働者党の党員だ。モスクワを崇拝していたのがワシントンに切り替わったに過ぎない」と。

  そんな市場経済歓迎論者たちも06年に訪問したときはずいぶん言い方が変わっていた。農地を潰し、電気、ガス、水道、道路などのインフラ整備に金をかけて外資を呼び込んだが、利益を漁ると引き揚げてしまう。後に残るのは荒廃した空き地と農業に戻れない失業者。そんな現実にぶちあたったわけだ。いま、バール新大統領の登場を迎え、おれたちを歓迎してくれた井川君の知人たちはどんな立場でどんな活動をしているのだろうか。