戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

いろいろあっても歴史は進む 17/10/25

明日へのうたより転載

 昨日24日の民進党参議院総会は大揉めだったようだ。「希望の党への合流を『代表一任』と決めて失敗だった」(桜井充議員)。過去を悔やんでほぞを噛んでいるというのが実情、情けない。前原代表への恨み節は際限なく、「党規に反した」として除斥か離党勧告を要求(小西洋之議員)する声もある。

 とはいっても参議院はまだ民進党が残っているからいい。可愛そうなのは衆議院で、民進党は解体して3つに分裂してしまった。3つのうち希望の党合流と立憲民主党参集でははっきり明暗が分かれた。「明暗分かれた元民進」「希望組3割当選 立憲組7割当選」(24日付『毎日』)。

 3割、7割というのは前、元、新人ひっくるめた数字で、前職のみだとかなり異なる。解散前の民進党衆院議員で今回立候補したのは90人、当選したのは65人。このうち希望の党は53人立候補して31人、立憲民主党が16人で全員当選、無所属は21人中18人が当選だ。希望の党へ行った前職で落選したのが22人もいる。「ああ希望でなく絶望だった」「緑のタヌキに騙された」とぼやいてももう遅い。

 この明暗はどこからきたのか、きちんと分析する必要がある。小池ファーストが失速し、追い風が向かい風になったことも事実だがそれだけではない。「市民と野党の共闘」に背を向けたたかどうかが厳しく問われる。国民から遊離して政界のからくりに乗ってしまったのが運の尽きだったのだ。

 さて今後どういう展開になるかということだが、一筋縄で行くとは思えない。民進党から立憲民主党に参集した人たちをメディアは「リベラル派」と呼んでいるが、これもあいまいだ。立憲の枝野代表、希望の党への合流を仕組んだ前原氏、無所属で当選した野田氏はともに政治活動の始まりは日本新党である。3人の政治理念がそれほど違うとは思えない。結局は民進党の復活になる可能性もある。

 日本新党は「非自民非共産」を掲げて一時政権を握ったがすぐ自民党に取り戻されてしまった。日本新党の流れを継いだ民主党も「政権交代」の風が吹いて政権の座についた。これも3年ちょっとでひっくり返された。どこに原因があったのか。やはり国民との結びつき、反自民勢力を大きく結集することができなかった、そこを衝かれたのではないかな。つまり「非自民非共産」では駄目ということなのだ。

 共産党は今度の選挙で議員も票も減らした。志位委員長は記者会見で「そのかわり野党共闘は前進した」と胸を張ったが、どう見ても負け惜しみに聞こえる。しかし清々しい負け惜しみだ。これからも道はジグザグだが、野党共闘=統一戦線に向かうことをおれは信じている。いろいろあっても歴史は進む。