戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

閑話休題(32) 17/09/24

明日へのうたより転載

 近所に曹洞宗のお寺祖光院がある。ここの境内に彼岸花が群生していて、近郷近在から特にお年寄りが見物に訪れる。おれも自転車で見に行ったがもう盛りを過ぎていた。そのまま通り過ぎて五香のラーメン屋「むどう」へ行き、煮干し出汁醤油ラーメン(730円)を食う。若い店主が1人で切り盛りしていて店はカウンターだけ。たまに塩味も注文するが、こちらも「コクがあるのにさっぱり」していて美味だ。

 駅前通りの「白樺書店」に寄ってから常盤平に戻る。懇意の花屋で750円の仏花を買う。この花屋は駅前のスーパーのひと隅で営業していたが、2年前に新京成の線路際に独立の店を構えた。店主のおばちゃんとはよく世間話をする。「生前親不孝していたから仏壇に花だけは絶やしたくない」と言うと「それはいいことよ」と目を細めて喜ぶ。たまに鉢植えのベコニアやミニバラをタダでくれる。

 家に帰ると89歳の大村さんから電話。地元の地酒の会「豊友会」の常連だ。この前の例会の席で、大村さんが知っている箱根小涌谷の会社保養所へ有志で一泊旅行しようということになった。早速その下相談をしたいという。家へ来てもらって、昼間からお酒をちびちびやりながら2人で計画を練った。

 大村さんは昭和3年、東京市豊多摩郡(渋谷区幡ヶ谷)で生まれた。小学校2年の時、2・26事件に遭遇している。東京空襲を経験した後、終戦間際に早稲田大学に入る。すぐ長野へ勤労動員で行かされ、地下軍需工場の建設を手伝わされた。あまりに労働環境が悪いので同盟罷業をしたという。

 大村さんには今度地域の日本共産党後援会で「私の戦争体験」と題してお話をしてもらう。この後援会も発足20年、ずっとおれが会長をしている。年会費500を納める会員が全盛期50人を超えたが、最近では40人そこそこ。亡くなったり病気だったりしてじり貧ではあるが、きちんと定期的に世話人会を開き、2ヵ月に1回はニュースも出している。読者は100人を超える。

 夕方、女房が小金原の石原魚点に行くというので車に同乗する。おれはまだ自転車に乗れるが女房は数年前から乗らなくなった。車だけである。その車もいつまで乗れるか。今高齢者の車の事故が増えていると言うからね。もし女房の車が駄目になったら困っちゃうな。心配だ。魚屋で鯛のアラをひと山500円で買ってきた。塩を振って熱湯をくぐらせ、少し砂糖を多めにしてアラ煮にした。酒の肴に抜群だった。