戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

世界を「敵」に回す北朝鮮の実相 17/08/25

明日へのうたより転載

 8月14日、北朝鮮の白頭山で「第5回白頭山偉人を讃える国際祭典」が開かれ、外国から58カ国73団体196人が参加した。日本からは18人、そのうちの1人が水谷研次さん。水谷さんはおれと入れ違いに都労委委員になった元連合東京のオルグで、おれより一回り若い。6年前に退任し今労働審判員をしている。

 白頭山の偉人というのは、ここを本拠にして抗日パルチザンをたたかった金日成とここで誕生した金正日のこと。祭典では「反帝国主義、社会主義の砦である朝鮮を支持する活動をさらに力強く展開していく」との「2017年白頭山宣言」を採択、シュプレヒコールを斉唱しデモ行進をした。

 ――水谷さんは「シジフォス/ウェブリブログ」というブログでほぼ毎日、労働運動をテーマにした小論文を発表している。これは情報量も物凄いし、方向性がしっかりしているので活動家必見だ。おれはしばしばパクリ(無断引用)をやっているが、年に一回会う都労委の同窓会「三睦会」の席上白状したら笑って許可してくれた。この文章も「シジフォス・・・」からの無断引用である。

 というわけで水谷さんの平壌寸景からいくつか拾って紹介する。「2年前はガラケ―が多かったが、今はスマホが全盛、白頭山頂でも使える」「次々に新しい建造物が設置されたり、リニューアルされている」「若い女性たちはさらにお洒落になっていた。プレスレッドやネックレスも」「最近開館した科学技術殿堂も巨大な施設で、その中心には2012年に人工衛星を打ち上げた銀河3号の模型が」。

 「(日本代表の中に)初めての訪朝という方が4人もいて、まったく見方が違ったと言っていた。社会主義が崩壊しなかったこの国は、未だに全世界を『敵』に回しても急速な発展途上にある。そして米国の圧力に苦しむ多くの非同盟諸国からは希望の光明として仰がれている。しかし、日本は未だに『過去の清算』を行わないどころか、仮想敵国として嫌い、差別(侮辱)し、『制裁』を続け、国交を結ばない」。

 水谷さんは「日本の青年は将来に希望を持てないでいるが、朝鮮の若者は未来への明るい展望がある」という。おれも北朝鮮に偏見や侮蔑意識を持っているとは思っていないが、水谷さんのいう「社会主義が崩壊しなかったこの国」という規定には直ちに同意できない。それは実際に見てきた人と日米メディアにミスリードされている者の違いなのかも知れないが・・・・。