戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

病院で読んだ平野洋子「あじフライを有楽町で」 17/08/10

明日へのうたより転載

 本10日午前10時、2泊3日の入院生活から解放された。結局大腸内視鏡検査でポリープが1個見つかりその場で切除。胃カメラの方は潰瘍の跡があるが治療は必要ないでしょうとのこと。この程度だと去年までの柏辻仲クリニックでは日帰りコースなのだが、今年はそうはいかない。2泊させられた。

 それでも検査前の「なんか嫌な感じ」が、大腸がん発見!などと的中しなくてひとまず安心。それにしても8日の夕食、9日の朝昼晩の4食絶食には参った。腹が減ってふらふらだ。相変わらず痛む腰をさすりながら柏の葉キャンパスから筑波エキスプレス、武蔵野線、新京成を乗り継いで帰ってきた。

 この間病室で文庫本を1冊読み終えた。平野洋子著「あじフライを有楽町で」。著者が『週刊文春』に連載した食に関するエッセイ78篇をまとめた読み物だ。タイトルに使われた有楽町であじフライを食わせる店というのは交通会館地下1階にある「大正軒」のこと。おれも都労委委員の頃よく通った店だ。

 その大正軒、おれが昼飯になると顔を出していたころはとんかつ定食が主だった。海老フライや牡蠣フライもあったが主力はとんかつで、鹿児島産黒豚使用という細長い板の看板が出ていた。おれはカウンターに座り、注文はロースかつ定食1本。1985年当時800円だったが、都庁が新宿に移転する91年には1100円になっていた。今はいくらなんだろう。それとももうとんかつはやってないのかな。

 この5日、江草さんの「三人展」を観に交通会館のエメラルドルームに行った。その際繁盛しているカウンターだけのラーメン屋の奥に「大正軒」の看板が見えたからまだやっていることは確かだろう。あれからかれこれ25年、ひたすらとんかつを揚げていた親父さんもいい加減の歳になったんだろうな。

 おれは77年に都労委委員になってから91年の新宿移転までの14年間、交通会館5階の事務局に通った。午前、午後と続けて審問があるときには会館内で昼飯を食った。大正軒のほかにも行きつけの店があった。おれは変なところが小まめで、手帳にその日の昼飯を記録したのが残っている・

 「小花寿司」にぎり1.5人前925 「桃園」ちゃんぽん720 {吉田」麦とろ670 「きしめんコーナー」てんぷらきしめん470 「おそめ」上天丼900 「多ちばな」うな重1100・・・。