水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)

「ヘボやんの独り言」より転載 

危険な参議院に「1県1人」の憲法明記     18/02/18

 自民党の憲法改正推進本部(細田博之本部長)は、参議院の「合区」解消に向けた改憲案を大筋で了承したという。内容は3年ごとの参院選で各都道府県から1人以上を選出する規定を盛り込むというもの。これは党所属国会議員が出席する全体会合を開き、条文案の合意をめざすとしている。かなり前のめりだ。

 この案は憲法によって合区解消を図ろうというものだ。私は一瞬、そうすれば定数を増やさざるを得なくなり、「一票の重み」が平等になると思えたが、これはとんでもない〝お人よし〟の考えであることが分かった。

 逆なのだ。つまり、合区がいやなだけで一票の重みを無視して「1県1議員」を選出しようというのだ。これはやりたい放題の上塗りである。安倍改憲の〝動態余勢〟を買って党利党略、自党の〝事情〟を押し通そうというものだ。

 これはもうファショだ。

 この問題を具体的に見てみよう。人口の一番少ない鳥取県の人口は56万5,233人、一番多い東京都は1,374万2,906人(ともに2017年10月1日現在)となっている。これを単純に計算すると、鳥取が1人の場合、東京は24.3人となる。

 ところが現状は、ご承知のように東京の定数は6。計算は分かりやすい。東京の1票の重さは鳥取の4分の1になるのである。これを憲法で定めようというのが自民党の考えである。これはいくら何でもひどすぎる。ファショと言いたくなる所以である。

 報道によれば、公明党は反対の意思を表明しているらしい。反対は当然のことだが、この党は信用ならない。安保法制や共謀罪法などで裏切られ続けているし、公明党は与党に入って以来、自民党の〝金魚の糞〟みたいに動いてきているのはご承知のとおりだからだ。

 愚痴はこのくらいにして、今回の自民案はどういう角度から見ても憲法に明記することは馴染まない。選挙の区割りなどは、人口の動態に即した個別法であり憲法に盛り込むものではないと思うからだ。

 これが通るような事態になったら、次は衆議院だ。おそらく小選挙区制制度を憲法に書き込むと言い出すだろう。しかも、比例区部分をなくしたうえで。そうなれば、この国は暗黒化するのは目に見えている。自民党のこの謀略、9条改憲同様に許してはならない。

★脈絡のないきょうの一行
「築地の市場は設けない」と小池都知事。再開発するという方針も反故。都民ファーストが泣いている。


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