水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)

「ヘボやんの独り言」より転載 

疑惑隠し〝みそぎ〟は済んでいない     18/01/28

 25日、トランプ大統領が「ロシア疑惑」に関連して、検察から事情聴取を求められたら偽証を問われる聴取であっても、「応じる」と発言。これは、当たり前のこと。それに比べ日本の首相はどうか。

 言うまでもない森友・加計疑惑である。安倍首相の〝お友だち〟トランプ氏は疑惑について自ら対応するというが、こちらは逃げ回っている。疑惑が生じたら、それを明らかにするのは政治家の務めである。そうしなければその人の政治生命が断たれることもある。それをしなかった韓国の朴槿恵前大統領は、結局、失脚した。

 日本はどうか。昨年の大義なき解散・総選挙はモリ・カケ疑惑隠しがちらついていた。火消のための〝道具〟として解散権を振りかざしたとしか考えようのないものだった。選挙の結果はご承知のように自民党が勝った。が、これはよくよく見てみると「敵失」によるものだった。

 野党共闘の機運が盛り上がっているなかで、「希望の党」なる新たな保守野党が誕生した。この新党、初戦の段階で代表が「排除の理論」を振りかざしたために頓挫した。それに対抗して「立憲民主党」が出来たことにより、極端な減少を食い止めることはできたが、選挙民の目はそちらに奪われ、モリ・カケ疑惑が薄まってしまった。

 この疑惑問題は何一つ解明できておらず、国会で徹底した審議が必要である。それにつけても、日本のメディアの不甲斐なさにハラが立つ。韓国の大統領弾劾の流れを作ったのはメディアの力だった。それが、100万人のデモを生み大統領を追い出した。

 日本はどうか。首相の疑惑隠しへの批判はほとんど聞かない。もしかしたらメディアのなかでは「みそぎ」が済んでしまっているのではないかと疑いたくなる。首相とメディアによる〝ダブル疑惑隠し〟だ(笑)とも考えたくなる。司法の動きも緩慢としか言いようがない。田中角栄のロッキード事件の時の検察はどこへ行ったのか。

 さらに森友学園の籠池泰典・諄子夫妻の仮釈放を許可しない動きも奇妙だ。仮釈放を許さないのは、証拠隠滅などが行われる危険性があるとき限られる。まだ裁判は始まっていないが、この夫妻の容疑は国に対する補助金適正化法違反の疑いと、大阪府の補助金をだまし取った詐欺の疑いである。

 その疑いで逮捕された訳だが、証拠隠滅などできるはずもない。いや、逆に隠滅が出来ない確証があったからこそ逮捕・勾留に踏み切ったのではなかったか。釈放しても何ら問題ないと考えるのは私だけだろうか。いや、穿った見方をすれば首相にたてつく者はこうなるんだ、という「見せしめ効果」を狙っているとも思える。

 よく考えてみると、この国はどこかヘンなのかもしれない。アメリカのトランプ大統領はヘンだが、民主主義に関しては日本の首相よりはまだましだ。


★脈絡のないきょうの一行
千秋楽を待たず、平幕・栃ノ心の優勝が決定。ふがいない横綱陣、いっそのこと全員引退したら?


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