水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)

「ヘボやんの独り言」より転載 

労働組合としての今年の課題⑦止 争議解決     18/01/15

 解雇闘争などの支援の必要性について私は「合理化の頂点に立つ人たち」だからだ、と強調してきた。この問題についてそんなに説明はいらないだろう。企業の論理によって解雇を受ける、それはすべての場合「合理化」の一環だからだ。

 1978年に沖電気で1,350人大量解雇が強行された。「企業として生き残るため」というのがその理由だった。電気労連(当時)に加盟していた労働組合は、形の上では反対したが受け入れた。解雇されたなかの70人近い人たちは、争議団を結成し職場復帰を求めて闘いを開始した。まだ総評が健在で、電気労連では取り組むことができなかったが、少なくない労働組合が支援に立ち上がった。

 闘争の中で、とんでもないことも明らかになった。会社は解雇した人たちの一部を密かに再雇用していたのである。これはひどい。解雇された人たちのなかには、労働組合活動に積極的な人、会社にモノいう人が多く含まれていた。こういう人たちを追い出すためにそのほかの人たちを〝道連れ〟にしたのではないかと考えたくなる事件だった。10年余の闘いを経て争議は解決したが、この闘いは典型的な「合理化」大量解雇だった。

 同様なのが現在も闘われている日本航空である。2010年、経営が危なくなったとして日本航空経営は退職勧奨をおこなった。その数は予定数に達したが、それを超えて165人もの人たちをなんと年末の12月31日に解雇したのである。

 紙数の関係で詳細は省くが、解雇事件は最高裁まで闘われたが組合側は敗訴した。しかし、管財人が「スト権を立てると国からの支援が受けられなくなる」という発言の不当労働行為について、東京都労働委員会がこれを認め、最高裁まで争われたが最高裁もこれを認めた。最高裁は、「不当労働行為があったことを認め、解雇は正当」というちぐはぐな判断をしたことになる。

 裁判は終わったが、解雇撤回闘争は8年目に入った。この間日本航空は、客室乗務員を新規に3000人雇ったという。パイロットも不足している。経営が判断さえすれば、この人たちを職場に戻すことはできるのだ。支援運動も広がっている。

 争議解決に必要なのは経営の判断だけだ。それを引き出す取り組みを〝反合化闘争の頂点〟と位置づけ、労働組合全体が展開できるのかどうか、試される時期にきたといえる。日本航空だけではなく、30年を超えた明治乳業の賃金差別闘争にも終止符を打つ取り組みが必要になっている。

★脈絡のないきょうの一行
「企業の利益の割に、(労働者の)給料が上がっていない。」(14日・朝日デジタル新聞)と麻生財務大臣。暗に連合批判。珍しく的を射ているかも。


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