水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)

「ヘボやんの独り言」より転載 

労働組合としての今年の課題③改憲問題2    18/01/09

 憲法9条を少しおさらいしてみよう。

【9条】
 1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
 
 ――となっている。これに【9条の2】として自衛隊を明記するというのである。明記する理由はすでにご覧になった方もあると思うが、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が作成したチラシが参考になるので紹介したい。この会の共同代表の一人に日本会議ともつながりの深いあの、櫻井よしこ氏が座っている。

 本来なら現物を紹介したいが、著作権問題が生じる可能性がありそうなので、割愛する。チラシは、自衛隊は①365日日本の守りに専念している②国際平和協力活動に、世界各国で貢献している③国民のくらしを守るため年間500回の災害救助をしている――そんな自衛隊について「今の憲法には自衛隊の規定はどこにもない。これでいいのか」と提起している。

 チラシで紹介されるまでもなく、自衛隊が現在行っている行動は確かにそのとおで、否定する人はいないだろう。私も認めるところだ。が、不思議なことは憲法に明記すべき理由がなに一つ書いていないことだ。どうもこの「会」は、自衛隊はいいことをやっているから憲法に明記すべきだ、と言っているに過ぎなさそうだ。

 もう一つ、9条を変えろと言っていないところに注目したい。これまでの改憲論者の多くは、9条を変えて自衛隊の存在を認めるべきだと主張してきた。ところがこのチラシは、「自衛隊は頑張っているから憲法に明記しよう」という主張になっているのだ。いわゆる憲法に書き加える「加憲」論だ。これについて安倍首相は「明記することによって、(自衛隊は)今までと何も変わらない」とも言っている。

 今までと変わらないのなら、憲法を変える必要はないだろう、というのがフツーの人のものの見方だと思うがいかがだろうか。ところが改憲をすすめようとする人たちは、敢えて「自衛隊を憲法に明記すべきだ」というのだ。謎かけ問答ではないが、「その心」をしっかり読み解く必要がある。

 そこで考える順序を逆転させて、9条に自衛隊が明記された場合、どんなことが起きるかを深めてみたい。


★脈絡のないきょうの一行
沖縄で6日に続いて8日にも米軍ヘリが不時着。米軍撤去は必要不可欠を物語っている。


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