水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)拝啓、石原慎太郎元東京都知事 様 17/02/08

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 拝啓、石原慎太郎 様

 突然のお便り、お許しください。築地市場の豊洲移転問題で、都議会が貴方の参考人招致を決めました(2月7日毎日新聞ウェブ)。当然であり、遅すぎるキライさえあります。問題はあなたご自身がきちんと対応するかどうかです。私は、高齢を理由に断るとみていますし、もしかすると入院するかもしれないと穿っています。よもやそのようなことはありますまいが……。

 今回の問題をこじらせた大本は、豊洲にあった東京ガスの跡地を買い取って、築地の代替地にしたことでした。代替地案の段階から、有害物質があることが分かっており、市場にはふさわしくないという指摘がされていたにもかかわらず、貴方があの土地を買収したことから今回の問題が発生しています。。

 そもそも移転問題は、築地市場が手狭になったことが理由でした。そのときは築地の2階建て構想が浮上していました。しかし貴方はこれを潰し、豊洲移転を強引に推進したのです。今回の参考人招致は、問題の原点に返って豊洲の土地の入手経路などを詳しく調べることを目的としたものだと言います。

 当時から多くの専門家が、「豊洲は築地の代替地にふさわしくない」と提言していました。それを無視して工事が進められました。無視する理由は何だったのかを明らかにさせる必要があります。加えて工事前の水質調査で「問題なし」としていたものが、今になって多量の有毒物質が見つかったことも明らかにすべきでしょう。

 〝利権がらみ〟と見る向きも少なくありません。東京ガス跡地の土地の取引で利権が生まれ、水質調査でも誰かが手を入れたのではないかという図式も見え隠れします。素人である私からみても、きな臭さを禁じ得ません。しかも、建屋に盛土をするという設計図になっていたにもかかわらず、それがされていなかった。不思議な建造物なのです。

 1965年、東京都は「伏魔殿」と呼ばれていました。都議会議長にからむ汚職事件が発端で、議長らが逮捕されるという事態に陥りました。このとき都民の間から「都議会解散」の運動が起き、それが現実のものとなりました。それまで都議会議員選挙は、4年に1回の「いっせい地方選挙」で行われていましたが、この年から7月あたりの中間選挙になったのは、貴方もご承知のとおりです。選挙の結果は、もちろん自民党のボロ負けでした。

 そして今年の都議会議員選挙。〝小池劇場〟のシナリオは着々と進んでいます。第1幕は都知事選挙で「豊洲移転の見直し」を言い出し、第2幕は移転をいったん止めて改めて水質調査。その最中に盛土のなかったことを公表。そして今度は第3幕。あなたの参考人招致がそれです。

 このあとの第4幕は、豊洲移転の白紙撤回。第5幕が都議選突入――というところでしょうか。シナリオが見えてしまうと、その芝居の面白みが薄まりますが、今回、貴方が舞台に上がることは興味深く感じています。貴方が〝大根役者〟でないことを祈っております。

 まだまだ寒き折、お身体ご自愛ください。元気なお姿で、都議会にお越しいただくことを祈念しています。

  敬具

★脈絡のないきょうの一行
米軍が日本の研究者に8億円(毎日新聞)。軍学共同問題が批判される中の出来事。日本の学者も地に堕ちたか。

 


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