水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)戦争と共謀罪② 17/02/04

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 今回のテーマである共謀罪は、この3つ目の「戦時体制づくり」にあたる。それでは、戦時体制づくりに必要なものは何か。主だったものに①メディア規制②戦争教育の徹底③貧困化の促進④市民への言論・結社の規制――などがあげられる。

 これに基づいてここ3年ほどを振り返ってみよう。何が行われてきたか一目瞭然である。

 ▼特定秘密保護法強行採決(13.12.6)▼防衛装備移転(武器輸出)三原則閣議決定(14.4.1)▼集団的自衛権行使閣議決定(14.7.1)▼戦争法強行採決(15.9.19)▼盗聴法・刑訴法改悪強行採決(16.5.24)▼南スーダン派遣自衛隊員に駆けつけ警護任務付与閣議決定(16.11.15)――が行われてきた。

 これらすべては戦争準備であり、戦時体制づくりの一環であることは言を俟たない。これらに加えて、沖縄高江のオスプレイパッドと辺野古の新基地建設強行も、戦時体制づくりの一つと断言できる。辺野古新基地は米軍普天間基地の代替というが、あの規模は代替にしては大きすぎる。地元では「自衛隊が使うことを前提にした戦争準備だ」という声もある。横田基地へのオスプレイ配備計画も同様に見て取れる。

 前述した4項目について一つずつ見てみよう。まず、メディア規制。それは秘密保護法に代表される。モノ言えぬメディアは歌を忘れたカナリアである。この延長線に報道の検閲が待っていることは間違いなかろう。政府(戦争)批判の報道が排除される恐怖が待っている。国連が日本の言論状況について危惧するのは頷ける。

 二つ目の教育。教育基本法が改悪されて久しい。沖縄における戦中の〝集団自決〟に関する記述が、すべての教科書から消えたという。従軍慰安婦問題についても消し去ろうとしている。南京大虐殺も、アパホテルでなかったことにした本が室内に置かれ、国際問題になっているのはご承知のとおりだ。子どもたちが戦争教育に埋没されようとしている。

 三つめの貧困の促進。貧困は戦争の入り口であることは知られるとおりだ。ISなどのテロ組織も、貧困を背景にしている。日本では自衛隊が貧困ビジネス化してきた。仕事のない若者たちが「自衛隊にでも行くか」という風潮になるのは時間の問題ではなかろうか。

 働いても年収200万円以下のワーキングプアは、1140万人(15年度)に膨れ上がった。これにはパート勤務の人たちは入っていない。その人たちを含めると3000万人はくだらないという専門家もいる。これらは政策的ではないかとさえ思われる。

 貧困は人々の心まで蝕む。戦争が悪であることが分かっていても、これに勝てば未来が開けるという報道と教育によって、マインドコントロールされる。かつて、農家で口減らしのために娘を身売りさせなければ生きていけなかった時代があった。それはついこの前のことである。

 そして、4つ目の言論・結社の規制という市民的自由の束縛である。(次回につづく)

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