水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)原発事故同意書」、強制労働に抵触しないか 16/10/17

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 これっていいのかなー、という疑念を払しょくできない。とりあえず、下記。

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高線量作業、575人が同意 泊原発で重大事故想定 北電が初の意思確認
北海道新聞 10月17日(月)11時44分配信

 北海道電力泊原発(後志管内泊村)で重大事故が起きた場合、北電社員と協力会社の社員の計575人が、2011年3月の東京電力福島第1原発事故の収束作業のような高い放射線量下でも作業に従事する意思を示していることが、北電への取材で分かった。法令改正に伴い、国が4月から緊急時の作業員の累積被ばく線量の上限を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げたのを受け、初めて意思確認した。

 福島事故では国が「収束」を宣言した11年12月までに100ミリシーベルトを超えた人が167人いた。最高値は678ミリシーベルト。当時も国は特例として作業員の線量上限を250ミリシーベルトに上げていた。

 575人は、9月末までに「申出書」と呼ばれる文書に署名・押印して同意した人数。泊原発で働く約500人の北電社員の多くが同意し、残りが協力会社の社員という。北電は泊全3基の再稼働までに同意者数を千人に拡充したい考え。

 申出書には、実際に作業に従事する際は改めて意思確認することや、同意は随時撤回できることなども明記されているという。

 こうした意思確認は原発を持つ各電力会社で行われ、川内原発2号機(鹿児島県)が稼働中の九州電力は川内で社員と協力会社社員計740人、玄海原発(佐賀県)で同610人の同意を確認。伊方原発 (愛媛県)3号機が稼働中の四国電力も同650人の同意を取り付けた。東電は社員のみ515人の同意を得ている。
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 会社から、こういう提案(意思確認)をされた場合、断れる社員はいるだろうか。おそらくゼロだと思う。これを断るということは「会社を辞める」に等しいからだ。玄海原発や伊方原発でもすでに行われているというが、疑問である。

 問題は国が累積被ばく線量の上限を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げたことにあるようだ。線量の世界被曝基準は、年間1ミリシーベルトとなっている。その規定の250倍を設定し、それでも「OKか?」と聞くこと自体が無茶苦茶の2乗である。

 この〝意思確認〟は、「線量がオーバーしたときでも、会社は責任を取りません」と言うに等しいのではなかろうか。いわば労働者の『自己責任』を先取りしているのと言えそうだ。労働基準法第5条は「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。」と定めている。いわゆる強制労働・奴隷労働の禁止条項である。

 今回のこの「確認」は一旦原発事故が起きたときには、世界基準の250倍の被ばく線量でも「働く」ことを約束させられるものである。そう考えてみると、一種の強制労働である。そもそも「安全神話」を振りまく人たちが、原発事故を想定すること自体が矛盾であるが、それに輪をかけて「確認書」を取るなど、矛盾の2乗ではないのか。

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