水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)友人の解雇⑥止――評議員会に理事解任の権限なしⅡ 16/09/20

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 A法人の定款にもどろう。第7条1項は「理事は、評議員会において選任し、理事長が委嘱する」と定めている。つまり評議員会は理事を『選んで』『任命する』ことが一つの仕事である。ところが、他のどの条文を読んでも理事の「解任」や「罷免」について、評議員会の権限はないし、定款にはその規定が存在しない。

 かろうじてそれに触れると思われるのは、同定款17条の評議員会の審議事項のなかに「その他、この法人の業務に関する重要事項で、理事会において必要と認めるとき」という規定があることだ。しかしこれは業務に関するもので、どう拡大解釈しても理事の解任や罷免を行えるとは読めない。

 ところが、6月25日に理事会と並行して開かれた評議員会で〝緊急動議〟としてBさんの解任が提案されたのである。これは不可解である。解任や罷免の権限のない人が、解任提案の緊急動議を出したのである。

 これをたとえるなら(最近はクレジットカードでOKだが)、お金のない人が買い物をするようなものだし、選挙権のない人が、選挙に行くようなものである。

 これを強行した人たちは言うだろう。「選任できるのだから、解任もできる」と。これは暴論である。すでに触れたが施設長の解任は理事会(長)に権限がある。施設長は「理事長が任免する」と規定している。「任免」とは「任命と罷免」ができることを規定しているからだ。

 もし評議員会に解任や罷免の権限があるとすれば、定款に施設長の規定同様に「評議員会が理事を任免する」と規定するはずだ。そうなっていないのは、社会福祉法の精神から前述したように「理事会のフリーハンド」を保障しているのである。が、すべてがフリーかというとそうでもない。一方で定款は「業務に関する重要事項」については、議論の対象と定めているからだ。

 以上みてきたように、①本人不在の入院中の議決は社会的・道義的に許されない②定款の議決規定からも施設長の解任は不成立③理事(長)の解任も評議員会にはその権限がなく、無効――である。

 今どき、こういう理不尽は珍しい。強行した理由をA法人はいろいろ言うかもしれない。理由があったのであれば、それは話し合いで決する事柄だ。社会福祉法は議決のハードルを高くしているが、それは法の精神からみて当然のことである。

 9月18日に、地元市民を中心にこの事件の真相を求める「対策会議」が発足した。私も50年を超えるつきあいのあるBさんの友人の一人として、その会員に名前を連ねたが、相手が誰であろうとも理不尽を看過するわけにはいかない。(この項、終わり)

★脈絡のないきょうの一行
納付率が60%程度に低迷している国民年金。強制納付を強めるというが、どこかヘンだぞ。

 


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