水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)友人の解雇③――数字のまやかしⅠ 16/09/17

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 どこが誤謬でウソか。まず、施設長の解任問題から考えてみたい。以下、やや難解になるので、重要部分を青字で表記したい。

 A法人は前述したように4つの施設を抱えており、それぞれの施設に長を置いている。Bさんはその一つの施設の長であった。各施設長の任免はA法人の定款第12条の2項で「理事会の議決を経て、理事長が任免する」と規定しており、理事会が任免権を有していることになる。

 施設長の任命に関する事務的手続きがこの間あいまいになっており、65歳を超えたBさんを含む2人の施設長のそれまでの追認(確認)と、理事会が開かれた6月25日以降の施設長の延長承認(任命)をおこなうことが議案としてあげられており、後者の議案のとき、Bさんは不当にも拒否され解任扱いとなったのである。

 理事会における議事の決し方について、A法人は定款で定めている。第9条7項で「理事会の議事は、法令に特別の定めがある場合及びこの定款に特段の定めがある場合を除き、理事総数の過半数で決定し、可否同数のときは、議長が決する。」としている。

 そこで、Bさんの施設長の「任期延長承認議案」の議決についてだが、議事録には「承認1名、保留(書面)1名。承認賛成が1名のため否決された」と記載されている。延長について、賛成が1人しかいなかったから否決されて解任になった、というのである。この議決結果が市に報告され、Bさんは解任扱いにされたのである。

 率直に告白するが、理事会で施設長の延長に賛成したのは1人だけだったのなら、入院中の社会的・道義的問題はあるが、それを別にしたら解任はやむを得ないな、と私は考えていた。ところが、A法人の定款を改めて精査してみると、そうではないことが分かったのである。この採決結果の数字に誤りはないのだが、結果に対する評価が誤謬に満ちているのだ。いや、意図的に議事録を改ざんしていたのだ。

 賢明な方ならお気づきだろう。議事録の表記に重大なものが欠落していることを。そう、施設長の延長承認に反対した人の数が記載されていないのだ。

 A法人の理事の定数は、社会福祉法にもとづいて6人となっている。6人の過半数は4人であることは小学校の低学年でも理解できる。議決が行われたこの日、理事のお一人は体調不良で欠席、施設長延長に関する議決について、この理事の扱いは「保留」となっている。Bさんも入院中で欠席し、事前に文書でもう一人の施設長も含めて、延長に賛成であることを表明している。

 そこで、ここからが問題だ。この日の理事会の出席者は4人であった。出席者の意思をつぶさにみてみると、「議長保留1、施設長の延長に反対2、賛成1」となるのである。(以下次回につづく)

★脈絡のないきょうの一行
民進党・蓮舫執行部の幹事長に前首相の野田佳彦氏。曰く、蓮舫の名前にちなんで蓮(はす)の根っこ「レンコンになる」と。気をつけて! レンコンにはアナがある。



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