水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)友人の解雇②――人権蹂躙の入院中の解雇 16/09/16

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

  実によく準備された解雇、(今後はA法人の言う解任という言葉を敢えて使うが)いや、解任であった。Bさんが手術のため入院したのは6月24日。その翌25日に理事長であるBさんが出席できないことがわかっていながら、理事会・評議員会で解任を決めたのである。

 今回のテーマとは若干外れるが、この6月25日という日は、隠されたもう一つの悪質な意図があった。Bさんが勤めている施設では、夏の一時金の支給規定が「7月1日在籍者」となっているという。6月中に解任すれば一時金を支給しなくてもよい、という考えが働いていたのだ。一時金を支給しないようにするための〝いやがらせスーパー悪質解任〟であった。

 本題の人権蹂躙問題にもどろう。そもそも社会福祉法人は弱者救済を精神とした仕事をしている。その立場からこの解任を見てみると、病気入院中という弱者を本人が出席できない状態で強行するという、本来の自らなすべき姿と矛盾することをやったのである。社会福祉法の精神を踏みにじり、自らの仕事を否定するようなことをやってのけた、すなわちA法人は弱者をいじめたのである。

 理由はどうであれ、それへの弁明さえできない状況のなかでの解任は、社会的・道義的に断じて許されるものではない。深刻なのは、障がい者施設の運営に携わっている人たちが、入院中の弱者を違法・無法な方法で解任したという点である。人権を守るべき人たちが、白昼堂々と人権蹂躙を行ったことである。

 これはもう集団的いじめであり、集団的パワハラである。私は敢えて、Aさんの解任に立ち会い、解任に賛成した人たちに問いたい。「あなたに、障がい者施設の運営を行う資格があるのですか」と。

 解任の理由はいろいろとあるようだ。それらを百歩譲ったとしても、本人が入院中に解雇してしまうなどの乱暴は許されない。本人不在の「欠席裁判」の解任は、道義的に無効である。

 もちろん、その場にいた全員が解任に賛成した訳ではない。当日の議事録を読んでみると、「本人のいないところでの解任はだめだ。本人が退院するまで保留にすべきだ」と一貫して主張した人もいる。(削除されたのかもしれないが)その意見に耳を貸す人はいなかった。「まず解任ありき」のマインドコントロールされた状態の人権蹂躙が、会議室に充満したのである。

 解任強行を批判する人がいたにもかかわらず、「数の力」で押し切られ、それは通過した。ところがその内実は、目をおおいたくなるほどの誤謬に満ちていた。いや、誤謬という言い方ではなく「嘘で固められた解任」だった、というほうが正しいかもしれない。(次回につづく)

★脈絡のないきょうの一行
またまた三菱自動車で燃費データの不正発覚。度し難いこの体質、改善は無理なのか?


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