水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)築地移転延期、識見である 16/08/30

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 これは識見である。とりあえず、朝日新聞デジタル版から以下。

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小池知事、築地移転の延期の方針 土壌の安全性に疑問
朝日新聞デジタル 8月30日(火)11時22分配信

 東京都の小池百合子知事は、11月7日に予定している築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転時期を延期する方針を固めた。豊洲市場の土壌の安全性確認などが不十分と判断した。30日午前、報道陣の取材に対し「近々会見など開き、その場ではっきり話をする」と述べた。

 小池氏は、豊洲市場の地下水のモニタリング調査が終わっていないことを疑問視。過去7回はすべて環境基準値以下だったが、最終調査は11月18日に始まり、1月中旬ごろに結果が出る。今月26日の定例会見で調査終了を待たずに開場を迎えることに「大きな疑問を持っている」と述べた。

 このほか、2009年2月に4316億円だった豊洲市場の総事業費が5884億円に膨らんだことや、間口の広さなどの「使い勝手」の点で業者らから不満の声が上がっていることも課題に挙げ、改善点を調べる考えを示していた。
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 築地移転反対闘争にかかわり始めて、何年になるだろうか。要請行動やデモ・集会にも参加してきてやっと一つの〝きざし〟が見えてきた。上記報道がそれである。移転延期理由として①土壌汚染に連動している地下水のモニタリングが出ていない②移転費用の高騰③豊洲に移転した場合の、使い勝っての悪さ――などを上げている。

 これに本来もう一つ加えるべきことがある。中小仲卸業者が切り捨てられ、場外(現在の築地)の業者の一部も締め出されるという問題だ。これは当事者の皆さんにとっては仕事の場を奪われることになり、死活問題となる。

 築地を残せという主張のなかに、「文化を残せ」という問題がある。築地市場は、間違いなく文化を育んできた。都民の食卓をつくるうえで、欠かせない存在だし「食文化」の一翼を担っている。市場のセリは、外国人も見学にやって来るほど賑わいをみせており間違いなく文化である。

 その意味では移転の、「延期」ではなく「見直し」あるいは断念が正解である。それでは、現在建設中の豊洲はどうするか、という問題が残る。心配することはない。築地の跡地利用を考えていた2020年東京オリンピックの「メディアセンター」にすればいいことだ。オリンピックが終われば、ほかの使いみちは腐るほどある。

 問題は、豊洲への築地移転に伴う利権がらみの動きだ。少なくない人が指摘しているが、かなりの利権が蠢いているという。この連中が黙ってはいないだろうが、移転延期や見直しが現実のものとなった場合、逆に〝利権屋〟たちをあぶり出すことができる。小池都知事がそこまで考えているとしたら、卓越した識見である。

★脈絡のないきょうの一行
台風10号、東北地方に上陸。せっかく実った秋の味覚の被害のないことを祈りたい。


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