水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)私は捏造記者ではない――④ 16/08/13

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 もう一つの「札幌訴訟」をみてみよう。これも小ブログで紹介したが、櫻井よしこ氏が執筆したものを掲載した、新潮社(週刊新潮)、ダイヤモンド社(週刊ダイヤモンド)、ワックス社(WILL)を相手とした名誉棄損の裁判である。もちろん当事者の櫻井よしこ氏をも相手にしている。

 こちらもひどい。よくもまあ、ここまで悪罵を書けるものだと、その精神構造を疑ってしまう。前出単行本の植村さん著作の「真実」から一部を拾ってみよう。

                              ◇
  例えば、『WILL』2014年4月号の「朝日は日本の針路を誤らせる」という論文では、こう書いている。

 「改めて疑問に思う。こんな人間に、果たして学生を教える資格があるのか、と。一体、だれがこんな人物の授業を受けたいだろうか。教員というのはその人物の人格、識見、誠実さを以て全力で当たるべきものだ。植村氏は人に教えるより前に、まず自らの捏造について説明する責任があるだろう」

 10月23日号『週刊新潮』のコラムでは、「朝日は脅迫も自己防衛に使うのか」という見出しを立て、私の記事を「捏造」と批判。「23年前、捏造報道の訂正説明もせず頬被りを続ける元記者を教団に立たせ学生に教えることが、いったい、大学教育の姿なのか」と主張した。

 特にひどいのは、同じ週に出た『週刊文春』(10月23日号)の「朝日新聞よ、被害者ぶるのはお止めなさい 〝OB記者脅迫〟を錦の御旗する姑息」という、西岡氏との対談記事だ。
  「捏造疑惑について説明責任を果たしていない元記者を教壇に立たせていいのかという問題意識が、本来は先に来るべきでしょう。『週刊文春』(2月6日号)の報道で、私は初めて植村氏が神戸の女子大に勤務する予定だと知り、事実関係の確認の為に、その女子大に問い合わせをしました。大学側は「お答えできません」と回答しましたが、その後、採用は取り消された。現在、北星学園大学で彼に教わっている学生たちは、どのような気持ちでしょう」

 「社会の怒りを掻き立て、暴力的言辞を惹起しているものがあるとすれば、それは朝日や植村氏の姿勢ではないでしょうか」
                               ◇

 いやはや、これは品も格も、羞恥心もない言いたい放題である。暴力的言辞を肯定しそれを煽ってさえいる。その延長に、北星学園に「天誅として学生を痛めつけてやる」だとか、植村さんの娘さんの氏名や写真をネットにさらすなどの、暴力がまかり通ったのである。

 これらの記事は、明らかに言論の自由を逸脱しているし、捏造という言葉を使いながら、実は自身が捏造していることに気づいていない。これらの記事を対象にして植村さんは札幌地裁に名誉棄損の裁判を提起したのである。(次回につづく)

★脈絡のないきょうの一行
天皇の生前退位、あっていいこと。天皇の人権を守るためにも。


このページの先頭へ