水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)私は捏造記者ではない――① 16/08/08

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 植村隆・朝日新聞元記者が東京基督教大学教授の西岡力氏と文藝春秋社を名誉棄損で訴えた裁判の第6回口頭弁論が、8月3日午後東京地裁で開かれた。その傍聴に行った。植村氏はもう一つ桜井よしこ氏、新潮社、ダイヤモンド社、ワックス株式会社を相手とした名誉棄損の訴えを札幌地裁に起こしている。前者を「東京訴訟」、後者を「札幌訴訟」と表記したい。

 植村元記者をバッシングする発言や報道は目に余るものがあった。それは〝やったもの勝ち〟的なひどいもので、植村さんの仕事先や家族を巻き込む日常生活にも悪影響を及ぼすものとなった。その憤りは推して余りある。

 植村さん対する「捏造記者」というバッシングは、彼個人の問題ではないと考える。ヘイトスピーチは在日韓国人に向けられたもののように映るが、それだけにとどまらず日本の民主主義や言論が危機になっているのだ。そういう視点から通称「植村裁判」を以下、考えてみたい。お付き合いください。

 植村さんは、自身の二つの裁判だけでなくもう一つ、家族の裁判を抱えている。娘さんへのネット上の中傷・脅迫への損害賠償裁判だ。東京地裁でその判決が3日言い渡された。まずそこから入ろう。

 判決は、原告の主張を認める全面勝訴であった。その内容を3日の「弁護士ドットコム」から見てみよう。

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  判決によると、問題のツイートは女性が高校2年生だった2014年9月に投稿された。ツイートの中では、女性の顔写真とともに、名前や学校、学年が示されており、「超反日サラブレッド」など誹謗中傷する言葉も書かれていた。

 裁判所は投稿当時、植村氏や家族に対する、脅迫状やネット上のバッシングが多数あったことを認定。「当時17歳の高校生であった原告の恐怖及び不安は耐え難いものであったと考えられる」と指摘し、問題の投稿を「悪質で違法性が高い」ものと判断した。

 会見では、「匿名の不特定多数からのいわれのない誹謗中傷は、まるで、計り知れない『闇』のようなものでした」とする女性のコメントも読み上げられた。コメントの中で女性は、今回の判決について「不当な攻撃をやめさせるための契機になってほしい」「健全なインターネットの利用とは何かについて、考える機会になってほしい」などと思いをつづっている。
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 この裁判が結審したとき、裁判所から和解の打診があったという。しかし彼女は、判決を得ることによって同じことが繰り返されないようにしてほしい、と拒否しこの日の判決となったもの。和解のはなしがあったことは事前に聞いていた。しっかりした娘さんである。(次回につづく)

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