水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)「ポケモンGO」――ゲームやるなら場所を選べ 16/07/27

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 込み合った電車の中。左右前方の二人が、しきりに指を動かしている。知り合いどうしだとは思えない。背中に何かが当たる。真後ろの人もスマホをいじっているようだ。不快だから、電車の揺れに乗じて場所を移動して、向きを変えてみるとこれまた、先ほどの二人と同じゲームをやっていた。

 何をしているか、お分かりだろう。「ポケモンGO」だ。

 評論家のやくみつるさんは、テレビ番組のなかで「もし都内で『ポケモンGO』禁止を言う候補者がいたらすぐ投票する」と一言。続けざまに「(VTRの内容に)こんなの愚かでしかない」「こんなのに打ち興じている人を心の底から侮蔑します」(7月25日・J-CASTニュース)と語ったという。

 かなり手厳しいが、確かにこの現象はヘンだ。ずいぶん昔の話しで恐縮だが、「インベーダーゲーム」というのがあった。これはかなり流行った。私も一度ならずやったことがあるが、あれは喫茶店などの限られたスペースで興じるもので、他人に迷惑をかけるものではなかった。

 ところが「ポケゴー」をはじめ、スマホやケイタイを使ったゲームはどこでもできる。電車やバス、飛行機のなかでさえ可能だ。本来便利なはずのモバイルという、外にいても情報収集が可能になった技術が、(人間が)どこでもゲームに動かされる道具化している。朝のラッシュ時間でも、スマホ片手にゲームに興じる人を見るたびに、おい、おいと眉をひそめたくなる。

 きょうの毎日新聞の投書欄に、「『ポケモン白痴化』が心配」という記事が載っている。その中で投書氏は「思考や読書や人との会話にこそ使うべき時間を、ポケモンを追いかけるのに費やす人生であっていいのか」と嘆いている。同感である。

 しかし私は、ゲームを否定しているのではない。遊ぶのであれば場所を選べ、と言いたいのである。そのうちゲームに夢中になり、死に至る事故が起きるだろう。これは容易に想定できる。すでに事故が発生していることが伝えられている。

 悲しい現実であるが、ゲームをやる人のマナーが問われているのだ。歩きたばこの禁止はかなり徹底された。同様に、歩きスマホ、歩きケイタイも禁止すべきである。その流れに逆行する「ポケモンGO」。それを提供している企業のマナーも問いたい。

 歩きたばこと道路での禁煙条例を、日本で最初に作ったのは千代田区だった。その時のスローガンは「マナーからルールへ」だった。このスローガンのように、歩きスマホや歩きケイタイを禁止する条例や法律をつくり、ルール化しなければならないのか。それではあまりにも、先述の投書氏ではないが〝白痴状態〟ではないのか。

★脈絡のないきょうの一行
相模原の障害者施設19人殺害事件。社会の歯車が、どこかで齟齬をきたしていないか。

 

 

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