水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)参議院選挙を振り返って 16/07/11

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 参議院選挙の結果は、ほぼメディアの予想どおりとなった。意外だったのは共産党が思ったより伸びなかったことだ。政策委員長の「自衛隊予算は人殺し予算」発言が響いたのか、それともほかのところに原因があるのか。どうしたことだろう。

 選挙結果は、もう一つの問題を生み出した。改憲の発議に必要な議員の3分の2以上を、改憲勢力が確保したことだ。衆議院はすでにそうなっており、両院で発議の条件が整ったことになる。

 これは率直に言って厳しい。特定秘密保護法も、安保法制(戦争法)も事前の選挙で争点にすることなく、いきなり成立させた。TPPに至っては(成立こそはしていないものの)選挙で反対していたにもかかわらず、参加方向に傾いている。その安倍政権の〝手口〟を見るならば、今回の選挙で改憲問題に触れなかったからと言って油断できない。

 公明党は「その議論の時期ではない」といっているが、これも信用できない。手のひらを反すことについて、説明も躊躇もしない党だから。さらに安倍首相の精神構造からすると、むしろ強行してくると考えたほうが正解だろう。しかし、恐れることはない。国会議員の発議が成立したとしても、国民投票が待っている。投票数の過半数の賛成がなければ、改憲は出来ないからだ。

 いよいよ憲法を守る正念場である。国民投票にかけられても、憲法9条は守るという構えを今から作っておくことが大事だろう。率直に言って体力に自信がなくなってきた。しかし、未来の子どもたちのことを考えると、沈黙する訳には行かない。

 もう一つ、経済問題がある。選挙戦で「アベノミクスのエンジンを吹かせる」と安倍首相は豪語した。冗談じゃない。格差がますます広がるアベノミクスは、すでに破たんしており、破たんのエンジンを吹かすということは、経済そのものの破綻に突き進むということだ。

 これは危ない。すでに懸念されていることだが、経済危機に陥った場合、一番先に切り捨てられるのが福祉だからだ。子ども、若者、年寄り、母子家庭、生活保護者、障がい者……例を上げればきりがないが、目に見えている。

 なかでも年金生活者の私にとって看過できないのは、年金基金の株式流用だ。すでに5兆円が消えたという。その事実を選挙後に正式発表する、という国民不在の姑息な手口にますますハラが立つ。株が下がったら基金を投入してつり上げる、ということを繰り返したらどうなるか、小学生にも分かる理屈だ。

 いずれにせよ、国民は自公政権とその補完勢力を選んだ。その結果がどうなるか、大筋は見えている。時代の歯車はいつか来た道へと動き始めている。それを止めるのが国民なら、前に進めるのも国民だ。今回の選挙は、悪い意味での歴史の〝転換点〟になってしまうのではないか、いやな感じがしている。

★脈絡のないきょうの一行
今度は東京都知事選挙。自民党サイドは二分したが、野党共闘の候補者選びがどうなるか。よもや二分はなかろう。


 

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