水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)パワハラ、看過できない 16/06/09

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 この報道、数字的には驚くほど高いが、実際は水面下にもっと隠れていると思う。とりあえず短い報道だが、以下。

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パワハラ相談、過去最多=15年度6.6万件―厚労省
時事通信 6月8日(水)18時37分配信

 厚生労働省が8日公表した2015年度の労働紛争に関する調査結果によると、民事上の労働相談のうち、上司による暴言や無視などの「いじめ」が前年度比7.0%増の6万6566件と過去最多となった。

 厚労省は「職場のいじめは増加傾向が続いている。パワハラに関する指導や啓発を徹底したい」(労働紛争処理業務室)と説明している。

 民事上の労働相談は、計24万5125件で2.6%増えた。「いじめ」以外では、「解雇」は3万7787件と3.0%減ったが、「自己都合退職」は8.7%増の3万7648件と増えた。
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 最近、私のところに珍しく多くの労働相談が寄せられる。その内容は全て、「雇い止め」である。不思議に思ったが、納得はできた。相談してくる人のほとんどが、派遣や嘱託といわれる非正規雇用である。しかも一致点がある。雇用されて、3年から4年の人たちである。

 どこが納得かといえば、派遣といえども勤続5年を超えると正社員にしなければならない、という法律が出来たからだ。「同一労働・同一賃金」を唱えるあのアホノミクス人の意向が反映されているのだろうが、とんでもない法律であることが実態として明らかになってきた。「5年」という区切りが、逆に非正規労働者の雇用を不安定にさせているのだ。

 すみません、分かりにくくなりました。「5年で正社員」という成立した法律を逆手にとって、3年から4年勤務の非正規の人が切られ(雇い止め)始めたということが浮き彫りになっているということだ。言い方を変えよう。企業は5年経たないうちに雇い止めをすれば、正社員にする義務が発生しないのだ。その先手をとって、雇い止めの連発を始めているのだ。

 その問題と、パワハラがどう関係するか。前記報道は、正規と非正規の割合などが出ていないが、想像するに非正規労働者に集中しているとみる。「民事上の上司」は経営から〝5年以内に辞めさせろ〟という特命を受けているだろう。辞めさせるにはどうしたらいいか。一番安易な方法は、自ら辞めてもらうことだ。

 辞めてもらうための実践形態がパワハラである。パワハラが横行する根底に「5年以内に辞めさせる」という企業にとっての〝命題〟があるのだ。その反映がパワハラの増加・横行だし、水面下はもっとすさまじいものがあると言える。メディアは、そこにもっとスポットを当てるべきだ。

★脈絡のないきょうの一行
中国海軍とロシア軍の艦艇が接続水域に接近(防衛相)。出来過ぎており、ヤラセっぽいなー。

 

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