水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)熊本(九州中部)地震⑦ 16/06/02

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 阿蘇神社は阿蘇市民、熊本県民のこころの拠り所の一つだという。ここまで崩壊してしまうと、メンタル的にも影響を与えるのではないか、そんな気がしている。阿蘇神社から熊本に戻ろうということで、豊後街道と呼ばれる国道57号線を走った。

 ところがこの道は崩落した阿蘇大橋の近くを通るため想定どおり、通行禁止となっていた。少しバックして、う回路に入った。国道から入ったすぐの踏切近くに列車が止まっているのを発見。どうも傾いているようだ。車を道路わきに寄せてそれを見に行った。

 豊肥線「赤水駅」が見えている。1両は駅ちかくに、もう1両は踏切の向こう側に止まっていた。駅近くの車両は脱輪して傾いている。写真1、2でその様子が分かる。車輪がレールに乗っていない、この光景は珍しい。

 写真3は、脱輪の瞬間に強烈な力が働いたのだろう、レールが曲がっている。そのレールの下にある木製の枕木が千切れ飛んでいる。あの強固なはずの枕木が千切れるほどの力がかかったことになる。これはすごい。写真を撮っていると、年配のご夫婦がやってきた。

【写真1/止まったままの列車】

【写真2/脱線部分(進行方向右車輪)】

 話をしてみるとご主人は鉄道のことに詳しい。「私は撮り鉄(鉄道写真のマニア)ですよ」と笑っていたが、かつて鉄道員だったという。そのご主人の話。「1回目の地震のとき、2両編成の列車は赤水駅で足止めとなった。しばらくして試運転をしようということで、動き出した。そこに2回目の地震が襲ってきて脱線した」というのだ。

 「転覆しなかったのはラッキーだった。運転士は怖かっただろう。列車の1両目は、踏切内に止まり、車の邪魔になるというので少し動かした」という。上記写真の向こう側に見えるのがそれだ。

 もっとすごいと思ったのが下の写真3だ。

【写真3/千切れた枕木】

 脱線するときに力が加わったのだろう。レールが曲がっておりその下の枕木が千切れている。枕木が千切れるほどのエネルギーはすごい。列車が脱線や転覆するとき、このような想像を絶する負荷がかかるのだ。これは記憶にとどめておきたいものである。

 未だにこの列車のために豊肥線は動いていない。地震の爪痕の一つとして記憶にとどめておきたいものだ。帰路に益城町町役場の前を通った。道路の向かい側の文化会館の駐車場で、夕食の支度だろうか炊き出しが始まっていた。一日つきあってくれた従姉妹の娘が住んでいる駅近くで彼女を降ろして、別れ。宿泊地の大牟田市でもう1泊して東京に戻った。車のメーターは、東京を出てから2,825㎞を記録していた。一人運転の最長不倒距離樹立であった。

 熊本の現地は、仮設住宅建設が遅れているようだ。早めの建設を願わざるをえない。揺れは小康状態になってきているようだが、被災者のみなさんが一日も早く、日常生活に戻ることが出来るよう念じてやまない。

★脈絡のないきょうの一行
北海道の男児不明事件。まるで神隠し。どうしたことだろう。

 


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