水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)第87回メーデーに思う 16/05/02

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 天高く ああ五月晴れ 五月晴れ――昨日は第87回メーデーだった。連合は先月29日に開催し4万人が集まり、全労連と中立系は昨日、3万人の参加でむせ返った。私は今年でメーデー参加連続52回目となった。メーデーの歴史の実に6割近く参加したことになる。馬齢だけを重ねている観は免れないが、これはれっきとした記録である。

 ただし(すでに周りの仲間たちに語っているが)このうちの1回は八王子メーデーの参加である。それ以外はすべて「中央メーデー」に参加している。なぜ八王子だったか。1969年のことだ。この頃、私は解雇撤回闘争をたたかっていた。〝職がない〟ことが〝幸い〟して、白鳥事件の被告・村上国治さんの再審と釈放を求める運動の半ば専従的にやっていた。その関係で、八王子メーデーに派遣されることになり、そちらへ回った次第だ。いわば、任務として八王子に行ったのである。

 ま、そんなことはどうでもいいのだが、メーデー連続52回参加ということは、52年も労働運動をやっていることと同義語だ。うーん、これは忸怩たるものがある。ちっとも成長していないからだ。いまさらそのことを俎上に載せても仕方がないことだが、最近、労働者の意識に変化が起きていることに気づいた。

 政治問題への取り組みについてだ。よく「労働組合は政治問題に関与すべきではない」という意見を聞く。今私が所属する千代田区労協でも3年ほど前になるが、大会で同じ意見が出された。テーマは特定秘密保護法だった。

 事務局長として答弁に立った私は、いつもの通りはなした。「平和や民主主義が損なわれると、労働組合の存在自体が危なくなる。戦中、組合活動は認められなかった。戦争になれば賃上げ闘争などできなくなる。労働運動は平和あってこそ成立するものであり、労働運動を継続するためにも平和や民主主義を守らなければならない」というものだ。

 最近、この問題に大きな変化が起きている。組合員側から政治問題の発言が出てきているからだ。典型は「野党は共闘」である。戦争法の廃止を実現するには選挙で自民党と公明党を過半数割れするしかない。そのために野党共闘を実現する必要がある、というのだ。これこそ政治問題そのものではないか。

 ということは安倍暴走内閣が、労働者の意識改革に〝寄与〟したことになる。その意味ではもしかすると「お礼」を言わなければならないのかも知れない。そうだ。今度の選挙で野党共闘を勝利させ、自民党に「お礼参り」に行こう!

★脈絡のないきょうの一行
熊本地震の余震、1100回超え。被災者のみなさんの不安、推して余りある。

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 メーデーは、アメリカ・シカゴで1886年に始まったことを起源としている。実に130年の歴史をもつが、そのときの要求は1日8時間労働制だった。「第1の8時間は仕事のために、第2の8時間は休息のために、そして残りの8時間は、おれたちの好きなことのために」を目標に行われたのである。この要求は実現し、今では当然のこととなっている。

 日本のメーデーは、1920年5月2日に上野公園で開かれている。これが第1回目と位置づけられているが、その前段1905年に茶話会という形で開かれ、ロシア革命の影響を受けて1917年に社会主義者らがメーデー記念の集いを開いたという記録が残っているという。

 以降、メーデーの歴史は積み重ねられてきたが、1936年の「二二六事件」をきっかけに、メーデー禁止令が出され、この年は検挙者を出すなどしても開かれたものの、1945年(終戦)まで開かれることはなかった。戦争はメーデーと労働運動を禁止したのである。前回ブログでも述べたが、平和あっての労働運動なのである。

 日本の第1回メーデーの要求・スローガンは「8時間制労働の実施」「失業の防止」「最低賃金法の制定」などだった。最賃の制度要求は今でも掲げられていることを考えると、この国の経営者と政府がいかに労働者いじめをやってきたか理解できる。

 ところがそれだけにとどまらない。最近の日本の労働法制をめぐる動きは、メーデーが行われるきっかけとなった「1日8時間労働」のスローガンを蘇らせる必要があるのではないかと思わざるをえない。

 長時間労働が跳梁し、サービス残業が跋扈しまくっているからだ。そのうえ、こともあろうかホワイトカラー・エグゼンプションの導入で、労働者を残業代なしで死ぬまで働かせ続ける法律をつくろうとしている。派遣労働で低賃金に押さえつけ、さらに死ぬまで働かせ続けようとする動きは看過できない。

 平和や民主主義だけでなく、労働者のいのちやくらしを脅かす安倍政権――。メーデーの歴史を振り返りながら、改めてアベ政治の暴走ぶりをみるとき、これはもう退場願うしかない。いまこそ日本の労働者団結せよ、である。

★脈絡のないきょうの一行
アメリカの大統領候補者選び、どうなるのかなー(単なるつぶやき)。


 

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