水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)保育士賃金引上げ、透けて見える意図 16/04/27

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 こういうことができるのなら、全労働者にやってほしいものだ。大企業をはじめとした企業の内部留保は、300兆円を超えるという。その4%程度を使えば、全労働者の賃金を1万円引き上げることが可能である。しかもそれは国の財源を全く必要としない。

 ところがこの報道は、保育士と介護士の賃金引上げに限っている。それも2000億円程度の財源が必要だという。〝1億総活躍社会〟をダシにしているが、「保育園落ちた!」という若いママたちの声に怯えた結果ともいえる。

 いやいや、7月の参議院選挙対策のバラマキだ。さらにその先には、来年4月の消費税引き上げ理由の一つにするのではないか、という図式が透けて見える。

 いま行うべきは、「企業が世界一活動しやすい国づくり」などではなく、大企業が貯め込んだカネを吐き出させるための対策なり法律をつくり、労働者に還元することだ。目先の選挙対策ではなく、根源にメスを入れるべきだ。

 それとも今回のこの対策は、アベノミクスの失敗を早々に認めたことになるのか。以下、時事通信ウェブから。

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保育士給与、2%増を表明=介護士も月1万円引き上げへ―安倍首相
時事通信 4月26日(火)20時14分配信

 政府は26日、安倍政権が重視する「1億総活躍社会」に関する国民会議を首相官邸で開いた。

 安倍晋三首相は、保育・介護分野の人材不足を解消するため、2017年度から保育士については実質2%の給与引き上げを行う考えを表明。介護士についても「他産業との賃金差がなくなるよう処遇改善を行う」と述べ、月額で約1万円引き上げる方針を明らかにした。

 首相は席上、「(処遇改善は)財源を確保しつつ、17年度から実行する。来月中に『ニッポン1億総活躍プラン』の閣議決定ができるよう作業を加速してほしい」と関係閣僚に指示した。政府関係者によると、17年度予算案で保育・介護合わせ2000億円程度の財源を確保する見通し。

 保育士の平均月収は約22万円。賃上げは人事院勧告分を含めると約4%になる。首相はまた、技能や経験を有する保育士の処遇をさらに改善する意向も示した。

 一方、介護士については、勤続年数に応じた賃金体系を構築し、他のサービス業との賃金格差の解消を目指す方針を打ち出した。
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★脈絡のないきょうの一行
年間3万人に達する孤独死(昨年度内閣府調査)。自殺者も同数程度だが、これらの対策は聞かない。


 

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