水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)九州中部大地震――人間性の回復を 16/04/19

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 14日から始まった、熊本県益城(ましき)町を1回目の震源とした地震は被害を広げている。この地震について、気象庁は15日、「平成28年(2016年)熊本地震」と命名した。が、震源地が大分県にまたがり、被害も熊本県だけにとどまっていないこともあり、ネットでいろいろな意見が書き込まれている。私は「九州中部大地震」と呼びたい。

 地震被害は日を追うごとに広がっている。テレビに映し出される家屋倒壊の映像は、首都圏で同じことが起きたら……という恐怖を引き起こす。大火にならなかったのは不幸中の幸いだったが、それでも今朝の段階で死者は44人にのぼり、行方不明者の捜索が懸命に続けられている。車中生活を余儀なくされて、エコノミー症候群を発症したと思われる犠牲者も出た。亡くなられた方々のご冥福を祈りたい。

 突然の災害は、火山列島・日本につきものとは言え厳し過ぎる。普段、地震の少ない土地でもありその恐怖はいかほどか。外敵から守るため幾重もの装備をした、強固な熊本城の瓦と城壁が崩れ落ちる様子は、築城に当たった加藤清正すら想定しなかったことなのであろう。14日から始まり、19日の現在でも揺れが続いているが、その恐怖は推して余りある。

 私の従姉妹(長崎県大村市在住)の娘が、熊本市内に住んでいる。16日の夜、ケイタイ電話がやっとつながった。自宅マンションに隣接している学校に避難していた。「なんとかしてあげたい」と思っても遠い。隔靴掻痒である。

 災害発生時にまず必要なものは、水と食料である。とりわけ水は、赤ちゃんのミルクづくりに欠かすことが出来ず、まさに命の綱だ。孤立した場所からのテレビの生中継で「SOS」「水」という文字が見えたが、まさにそのとおりだ。

 食料が集積所に集まっているが、それを避難場所に運ぶ人手が足りないという。ありがちなことだが、改善されてきているようだ。早く届けてほしい。自衛隊が投入されている。それは結構なことだ。災害救助派遣こそが自衛隊の重要な仕事だから。

 しかし、オスプレイが救援活動に配備されたことが気になる。ドサクサに紛れる手法と思えてならない。救助の手段としてそれしかないのであればやむを得ないが、普通のヘリもあるだろう。にもかかわらず、敢えて批判のあるヘリを使う神経を疑いたい。災害救助にオスプレイを使用することで、国民の〝オスプレイ慣れ〟を狙おうとする魂胆が丸見えである。

 避難所生活が長期化しそうだ。これは厳しい。とりわけ幼児と高齢者には。これまでの経験から、この対策を早急に立てる必要がある。避難所生活は、食料はもとよりトイレの問題は深刻である。阪神淡路大震災の被災者から「人間性が損なわれる」と聞いたことがある。

 だから、災害からの復旧・復興は「人間性の回復」なのである。

★脈絡のないきょうの一行
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