水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)TPP、交渉資料公開なしでは審議できない 16/04/06

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

  ここまで腐ってしまったか、日本政府――。国会でTPP批准審議が始まろうとする矢先、交渉資料の公開を求めた結果は「黒塗りの紙」だった。

 私もかつて、中央労働委員候補になり拒否されたとき、委員の選出経過について公開を求めたことがある。そのときも大半が黒塗りだった。それでも情報公開法にもとづいて不服審査を申し立てたが、結果も拒否であった。「黒塗り」という言葉が出てくるとこのことを思い出す。

 前出の事例と比較のしようはないが、今回のTPP問題は国の未来を左右する重要課題である。にもかかわらず黒塗りだったという。交渉経過が分からないのにどうやって国会で審議するというのか。

 国会の役割の重要な柱は「法律づくり」である。しかも今回は国際法だ。その法律をつくる根拠となる交渉経過が分からないのでは審議のしようがないではないか。これは法案審議にあたって、その必要性や経過、中身が分からないまま審議せよ、というに等しい。

 そもそもTPP交渉にあたって、国間で交渉資料を公開しないという取り決め自体が狂っているのだ。法律づくりにあたって、最初からボタンを掛け違っているのだ。これを殺人事件の裁判になぞらえるなら、殺害の動機や経過、殺害日時や場所などが不明のまま判断せよ、ということと同じである。

 カオを洗って出直して来い、と言いたい。TPPはこの間指摘してきたように、日本という国の形を(悪い方に)変えてしまう国際協定である。交渉経過が不明のままでは審議するに値しないし、批准などできるはずもない。以下、朝日新聞から。

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TPP交渉資料、全て黒塗りで公開 内容分からず 自民
朝日新聞デジタル 4月5日(火)21時44分配信

 環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案の衆院特別委員会での審議をめぐり、自民党は5日、民進党が求めていた政府の交渉資料を、特別委の理事懇談会に提出した。ただ、全て黒塗りされ、内容は分からない状態だった。

 民進は、情報開示がないと十分な審議ができないとして、甘利明・前TPP相とフロマン米通商代表部代表の会談記録の提出を要求。自民は5日、首相官邸への報告用に論点をまとめた資料を提出したが、全て黒塗りされ、「TPPブルネイ交渉会合 平成25年9月」などというタイトルだけが上から貼り付けられていた。

 自民の佐藤勉国会対策委員長は記者団に「公開しないという国と国との約束は絶対に逸脱できない。それ(黒塗り)でもという話があった」と説明。民進の近藤洋介・特別委筆頭理事は「ここまで黒いと思っていなかった。政府の説明を徹底的に求める」と述べた。

 資料提出を受け、与野党は、特別委で6日に承認案などの趣旨説明、7、8の両日に安倍晋三首相も出席して質疑を行うことで合意。自民は、首席交渉官だった鶴岡公二氏の参考人招致にも応じた。
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★脈絡のないきょうの一行
ニューヨーク外国為替市場で円急騰。アベノミクスの化けの皮がますます剥がれてきたぞ。


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