水久保文明(JCJ会員 元毎日新聞労組書記 千代田区労協事務局次長)「核」なき世界へ 10/08/25
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「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/
8月の報道で、もう一つ気に留まったのは「週刊金曜日」8月6日号の特集・『「核」なき世界への道』でした。「ヒロシマ・ナガサキから65年」をテーマにしています。川崎哲・ピースボート共同代表のレポート、歌手・美輪明宏さん、イラストレーター・黒田征太郎さん、シャンソン歌手・クミコさんら三つの対談、編集局の成澤宗男さん、ジャーナリスト・鈴木真奈美さん、漫画家・西岡由香さん、フォトグラファー・岡本央さんのレポート――と21ページにわたって多面的に展開しています。
これはありきたりの「核廃絶論」ではなく、面白かった。いくつか紹介してみます。
まず、川崎哲(あきら)さんのレポート。5月にニューヨークで開かれたNPT(核不拡散条約)再検討会議について、その成果を評価しながらも『NPT体制の限界』を説いています。理由として①核保有国とそうでない国への対処が違う②NPTの外にいる核保有国に対処できない③インドとパキスタンをめぐる複雑な情勢 ――を挙げています。
確かに川崎さんが指摘する問題は存在すると思いますが、私は少し違います。30年も前になるでしょうか、核兵器をなくす方法として『フィルムの逆回し』の論議がありました。つまり、映画フィルムを逆回転させると元に戻って『ゼロ』になる、それと同じ方法をたどれば核兵器はなくせる、という考え方です。この思考、わたしにとっては斬新でした。
その立場から見たとき、NPT再検討会議はこのフィルム逆回転の役割を果せると思うのです。保有国とそうでない国、これから作ろうと狙っている国、絶対に許してはならないと主張する国などさまざまです。しかし、NPT再検討会議はそれらの矛盾をはらみながらも、『核廃絶』の点では一致しています。それがオバマ大統領のプラハ演説につながったし、鳩山由紀夫総理大臣(当時)の「同義的立場から核廃絶に力をそそぐ」とも言わせたのです。
川崎さんは、NWC(核兵器禁止条約)に期待を寄せています。内容は、「核兵器の開発・実験・使用などを一括して、いかなる国もしてはならない」ことを全面禁止する条約です。これは1997年にコスタリカ政府が国連に公式に提案したもの。以降、国連総会でNWCの交渉開始を求める決議が採択(これは知らなかった)されているといいます。核兵器廃絶へ、NPT再検討会議の動きとともに、これを前に進めることも重要だと思います。(次回につづく)
★脈絡のないきょうの一行
韓国併合100年。「反省すべきは反省し」というが、一体何を反省するのか主語がない。
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美輪明宏さんと「週刊金曜日」の編集委員であり、社長でもある佐高信(さたかまこと)さんの対談もおもしろかった。美輪さんは10歳のとき長崎で被爆しています。つまり被爆者です。美輪さんはのっけから「私はアングロサクソンって大嫌いなんです。もともと海賊ですからね。英国とアメリカの歴史は、他人の土地を乗っ取って殺人して、略奪して、ろくでもない奴らですよ。悪魔ですよ。」と手厳しく批判します。
この歴史認識、全く同感です。ずいぶん昔に学んだことですが、アングロサクソンというのは狩猟民族に属し気性が荒く、敵対する相手に対しては徹底的に傷めつけないと気が収まらないといわれます。相手が死んだと分かっていても、さらに踏みつけるのがアングロサクソンだともいいます。なるほど、美輪明宏さんの言葉に納得できる。が、ここは民族問題を論じるところではありませんので、先に進めましょう。
美輪さんは、原爆投下のときの話しをつづけます。「11時少し過ぎでした。私は夏休みの絵の宿題を描いていました。描き上げて、机に立てかけ、出来映えを見ようと椅子から降りて、立ったとたんにピカッ! 空は真っ青だったので『え? こんないい天気に雷?』と。そう思うか思わないかくらいで、次はどかーん! と地震みたいな衝撃が来た。目の前のガラスが一瞬で『ぴっ!』と飛んだんです。何がきたのかわからない。」
「で、その後に、もの凄い爆音が聞こえたんです。B29が逃げていく音。敵もさるものでね。不意打ちするためにエンジン止めて来てたんですよ。だから原爆の前には警戒警報も空襲警報も鳴らなかったんです。」「お手伝いさんと兄と私は、また来るかもしれないからとにかく逃げよう、と防空壕に向いました。道端では馬が焼けただれて死んでて、馬車引きのおじさんが全裸で、皮がべろんべろんにぶらさがってるみたいな状態になってて。ものすごかった。この世の情景とは思えないですよ。」
美輪さんは最近もこのことを、ステージの上からも語り続けています。「今年で芸能生活58年目ですけど、普通なら歌手本人が年配になると、お客さんの年代も上がっていく。……でも私の場合はこの60年間、ずっと常にお客さんが20代なんですよ。下は高校生から、平均年齢をとると28歳になる。」と、若い人たちに語りかけることの楽しさを強調します。こういう地道な取り組みこそが、核廃絶への道につながっていることを感じさせてくれます。(次回につづく)
★脈絡のないきょうの一行
民主党の代表選挙をめぐる動き、つまるところ利権がらみじゃないの?
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8月6日付けの「週刊金曜日」の特集はさらに、それぞれの立場からの「発言」で固めています。イラストレーターの黒田征太郎さんは「『ピカドン』を描くのは、広島長崎のためじゃない、僕自身のためです」と言い切ります。「INORI~祈り~」が大ヒットしているシャンソン歌手のクミコさんは、事務所に届けられる折り鶴を見て「世の中に半ばあきらめていたようなところもありましたが、『平和』を祈り、思いをつなごうとしている人が大勢いることは感動です」と語り、自らの行動がそういう人たちに支えられていることに感謝します。
フォトグラファーの岡本央(おかもとさなか)さんは、長崎市立銭座(ぜんざ)小学校で取り組まれている平和教育の一環である、原爆の絵を紹介しながら「忘却によって同じ過ちを繰り返させないため」にも、この平和教育の取り組みの重要性を強調しています。
このコーナーの冒頭に申し上げましたように、8月に入ると放送も含めてメディアはさまざまな角度から「核廃絶」や「平和」を取り上げます。いま、大事なことは8月に限らずメディアにこのような取り組みを増やさせることです。そのためには、読者・視聴者である私たちがメディアを監視し、注文をつける必要があります。間もなく発表されますが、千代田区労協は来年度の方針(案)に「メディアを監視し、メディアにモノを言おう」ということを盛り込みました。
この国は、間違いなくいつか来た道に戻ろうとしています。憲法、安保、沖縄、医療、年金、くらし、などなど〝戦前状態〟が強まりつつあります。そのための準備の最たるものが、国会議員の比例定数削減です。少数意見と反核・平和勢力の声を抹殺しかねないこの策動、看過できません。こういう時代こそ『反権力』を目標とするメディア、とりもなおさずジャーナリズムの出番です。いや、いまこそジャーナリズムの鼎の軽重(かなえのけいちょう)が問われていると言えます。
暑い8月、間もなく終わろうとしています。最近の平和に関する報道に接して、こんなことを考えてみました。そしてこのコーナー、カテゴリーでは「平和と民主主義」ではなく敢えて「メディア考」に入れました。ご意見ください。
★脈絡のないきょうの一行
危険な円暴騰。これじゃ「円高難民」が大量生産されるぞ。