水久保文明(JCJ会員 元毎日新聞労組書記 千代田区労協事務局次長)新たな「ねじれ」を考える 10/07/12

 

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 民主党の敗北に終わった参議院選挙。はっきり言って、民主党は惨敗したといっても過言ではありません。定数1の選挙区だけを見てみると無所属候補を推薦した香川と、候補者を見送った沖縄を除いて、民主党は8勝21敗で、3年前の23勝6敗を逆転した形になっています。これは象徴的です。

 菅直人総理大臣は開票直後の記者会見で、敗北の原因について「消費税問題で説明不足だった」と述べました。これは違っています。敗因は、総選挙時の「消費税は4年間上げない」という公約を反故にしたことに尽きると思います。選挙戦終盤あたりから首相は、消費税問題に触れる事を避けてきました。この問題に言及すればするほど、票を減らすことに気づいたからです。毎日新聞が行った選挙戦終盤の世論調査は、地方に行くほど消費税増税反対が多くなっていましたが、それは前述1人区の選挙結果にみごとに反映していました。

 国会はねじれに戻りました。非改選を含めて参議院の定数は242。民主党(106議席)と国民新党(3議席)の与党だけで109議席。はるかに過半数に届きません。民主党はしきりにみんなの党に秋波を送っていますが、それが〝成功〟しても120議席にしかなりません。このねじれは、3年前の自民党政権時と比べると大きな違いがあります。民主党は衆議院で再議決できる3分の2をもっていないからです。したがってこのねじれは「真性ねじれ」(朝日新聞)といえます。

 今回のねじれは、積極的な面と否定的な面の二つを備えていると私は思います。

 積極的な面でいえば、与党の「力でねじ伏せる」的な政策決定が出来なくなり、十分な議論が求められるからです。野党との話し合いがつかなければ、法案が成立しないこともあり得ます。それはこれまでのような強行採決ができなくなることであり、国民に議論している法案の中身を知らせる時間が〝保障〟されることになります。つまり、ねじれは国会で法案の中身がきちんと議論される、という土台を作った点において積極面があります。

 しかし法案がより悪化することも予想されます。民主党が出してくる法案に対して、自民党がワル乗りしてさらに悪いものにしていく可能性があるからです。この間のねじれ国会で、たとえばインド洋への自衛艦派兵をいったんもどしました。ガソリンの暫定税率も、ほんの一時期でしたが廃止しました。こういうことが出来なくなるばかりか、もっと悪く修正されるのではないかという恐れです。

 予想されるその最たるものが、憲法改悪と衆議院の比例定数部分の削減です。大局において民主党も自民党も「改憲政党」です。衆議院の比例定数削減も数こそ違い、一致しています。これは非常に危ない。民主主義破壊法案を民主党が提案し、それに自民党がワル乗りして〝十分な話し合い〟を装って成立させる、という図式を描くのは私の杞憂でしょうか。

 そしてもう一つ。今回のねじれを喜んでいる人たちがいることを忘れてはなりません。『脱官僚』が事実上遠のいた、あの人たちです。

★脈絡のないきょうの一行
サッカーのワールドカップ、オランダを下しスペインが初優勝。おめでとう!!