水久保文明(JCJ会員 元毎日新聞労組書記 千代田区労協事務局次長)口蹄疫対策を考える 10/06/01
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「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/
連日報道されているように、宮崎県の口蹄疫問題が深刻さを増しています。昨25日付けの発表によりますと「本日判明分を含めた合計頭数は、147,894頭(牛19,720頭、豚128,159頭、山羊7頭、羊8頭)です。」としています。なぜこういう事態になったのでしょうか。2000年に起きたときと比較しながら考えてみたいと思います。行政の〝力量の低下〟がうかがえるからです。
本題に入る前に、「口蹄疫」とは何かをみてみましょう。少し専門的になります。
口蹄疫(こうていえき、学名 Aphtae epizooticae、英語: foot-and-mouth disease、通称FMD)とは家畜の伝染病のひとつである。偶蹄目※注(豚、牛、水牛、山羊、羊、鹿、猪、カモシカなど)やハリネズミ、ゾウなどが感染するウイルス性の急性伝染病。日本では家畜伝染病予防法において家畜伝染病に指定されており対象動物は牛、水牛、鹿、羊、山羊、豚、猪、ヒトである。旧国際獣疫事務局(OIE)リストA疾病に指定されていたが2005年5月にOIEのリスト区分は廃止された。
この病気は高い伝播性、罹患した動物の生産性の低下、幼獣での高い致死率という特徴を持つ。先進国では他の家畜への感染拡大を防ぐために罹患した患畜は発見され次第殺処分される。また他地域の家畜への伝播を防ぐため地域・国単位で家畜の移動制限がかけられることから、広い範囲で畜産物の輸出ができなくなる。これらによる経済的被害が甚大なものとなるため、畜産関係者から非常に恐れられている病気である。(Wikipedia)
※注/偶蹄目(ぐうていもく)とはひづめが偶数あるもの。それに対してひづめが奇数のものを、奇蹄目(きていもく)という。奇蹄目の代表はウマで、サイ科とバク科もこれに属し、ウマは口蹄疫に罹患しないという。偶蹄目をウシ目、奇蹄目をウマ目とも言われている。
別の説明では「口や蹄(ひづめ)などに水泡ができるのでこのように呼ばれている。その他、発熱や歩行困難といった症状も現れることがある」(時事用語)というものがあり、口と蹄に水泡が出ることからこの名前がついたようです。
日本では2000年に北海道と宮崎市で感染が確認されました。このときは日本国内で口蹄疫が発生したのは1908年以来92年ぶりのことだったといわれます。このときは緊急対策がとられ広がることはなくその後、国際的にも『安全』が確認されましたが、今回は大量殺処分が行われ、深刻さを増しています。問題はなぜ今回、こんなに被害が広がったのでしょうか。私見ですが、以下考えてみます。(次回につづく)
★脈絡のないきょうの一行
親方が暴力団に観戦の便宜。もしかしたら、相撲協会は治外法権団体か?
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この問題に関する取材の術がありませんので、農水省のホームページと報道を中心に見るしかありません。そのことを予めご容赦いただきたいと思いますが、2000年に起きたときと比べてみると、対応が遅れていることがはっきりします。
まず今回の問題に関する、農水省のホームページをみてみましょう。最初に「平成22年4月20日に、宮崎県において口蹄疫の疑似患畜の1例目が確認されました。感染拡大を防ぐための防疫措置を実施するとともに、畜産農家に対する経済的支援を実施しています。以下のページをご覧ください。人が牛肉や豚肉を食べたり、牛乳を飲んだりしても口蹄疫にかかることはありませんが、感染している家畜の近くに行ったりすると、無意識のうちにウイルスを運んでしまうことがあるので、感染した家畜がいる農場に行くことは避けてください。」と囲みで書いてあります。
最初に発見されたのは4月20日だったようです。すでに1ヶ月以上が経過しています。同じホームページの「プレスリリース」の「経過」をみると、4月20日付けで第1例目について「本日、宮崎県の農場の飼養牛に、家畜伝染病である口蹄疫の疑似患畜が確認されました。このため、本日、農林水産省に口蹄疫防疫対策本部を設置しました。なお、当該農場は、感染が疑われるとの報告があった時点から飼養牛の移動を自粛しています。口蹄疫は、牛、豚等の偶蹄類の動物の病気であり、人に感染することはありません。現場での取材は、本病のまん延を引き起こすおそれもあることから、厳に慎むよう御協力をお願いします。」と警告しています。
以降、連日2例目、3例目、4例目を報告し5月27日には「219例目~221例目」を報告しています。一方、対策はどうでしょうか。発見後の22日に1例目の殺処分を行って以降、次々とそれはつづけられています。しかし、県が「非常事態宣言」を発したのは殺処分が10万頭を超えた5月18日でした。非常事態宣言そのものに法的拘束力はないにしても、これはどうしたことでしょう。
私がもっと気になったのは前出の「当該農場は、感染が疑われるとの報告があった時点から飼養牛の移動を自粛しています」という部分です。口蹄疫は人間でいえば法定伝染病です。移動を「自粛する」のではなく「禁止」すべきだったのではないでしょうか。ついこの間、新型インフルが日本に上陸したとき、帰国した人たちが禁足を受け大騒ぎになりましたが、あの経験はどこにいったのでしょうか。
それでは2000年のときの対応はどうだったでしょうか。宮崎市内の牛肥育農家で口蹄疫の「擬似患畜」と診断されたのが3月25日でした。その診断時間ははっきりしないのですが、午後2時にはその農家の通行遮断措置をとっています。半径50メートル以内を立ち入り禁止にしました。同時に周辺の家畜に対して半径20kmを移動制限にし、同50kmを搬出制限地域に指定しました。
4月3日に2例目が、9日に3例目が発生していますが、1例目同様の迅速な対応をとり、殺処分は全体で35頭にとどまっています。しかも、同じ時期に韓国でも口蹄疫が発生し、4月10には韓国からの偶蹄類の動物と肉類の輸入を禁止しました。5月11日に北海道でも発生しましたが、防疫体制を強化し殺処分は705頭と宮崎と比べ大量になりましたが、畜産農家1軒のみの被害にとどめています。
10年前の事件と比べて、対応のスピードが違うことに注目いただきたいと思います。(次回につづく)
★脈絡のないきょうの一行
普天間移設問題、国民との合意がなくてもアメリカと合意? おい、おい、おい、おーい。
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口蹄疫は、対象が家畜とはいえ疫病です。対応が遅れると疫病はまたたく間に広がることは知られているとおりです。先週、政府の関係者はここまで広がった理由として「埋却処理をする土地が少なかった」ことをあげていました。私はちょい違うのではないかと思っています。確かに殺処分した家畜を埋める土地が少なかったかもしれません。が、それは埋却しなければならない頭数が増えたためで、その前段で迅速にやるべきこと、すなわち「封鎖」や「隔離」が遅れたことに理由がありそうだからです。いや、遅れたというよりやってはならない措置を取ったとしか思えないこともあります。
その最たるものは種牛の扱いです。高級種牛6頭が移動した問題は報道にもありました。本来ならこの種牛は動かしてはならないはずです。ところが国の特例で最初の事例が発見されて20日以上も経った5月13日、種牛6頭はそれまでいた同県高鍋町の県家畜改良事業団から北西に約24キロ離れた、同県西都市の標高約700メートルの簡易牛舎に移されました。ここが選ばれたのは周囲5キロに畜産農家がなかったからだといいます。つまり他から感染することを防ぎ、他に感染させないことを眼目においています。ここはむしろ後者に重きが置かれたように思います。
移された牛舎は2メートル四方の部屋が7つあり、それぞれ高さ3メートルの木板で仕切られ、接触はなかったといいます。ところが、この中でブランド中のブランド「忠富士」はウィルスが発見され、殺処分になりました。つまり忠富士は、口蹄疫ウィルスを背負って24キロも移動したことになるのです。残りの5頭は観察中のようですが予断は許しません。その後、別のところで同様に種牛49頭について特例の申請が出されましたが、さすがにこれは国も県も認めませんでした。
もう一つ、明らかになっていない問題としてヒトの動きがあります。報道関係者や、国・県の関係者が大量に動いたであろうことは容易に想像できます。当然、消毒などの防疫態勢はとったことでしょう。しかし、ウィルスはヒトを介しても広がります。本来ならヒトの動きも遮断、規制されなければなりません。防疫だけでは不十分であることは、先述しましたように新型ウィルス騒動で実証済みです。行政もメディアもこの問題について一言も触れていません。どうしたことでしょう。ヒトが介して広がったことはありえないというのでしょうか。
以上見てきましたように、今回の事件についてウィルスがどのように広がったのかまだ解明されていません。問題は10年前のときのように、完全遮断が行われたかどうかです。種牛とはいえ本来動かしてはならない罹疫の恐れのある家畜を動かしたことに見られるように、対策が甘かったのではないでしょうか。せめて救われるのは、特別立法で酪農家を救済する措置を早めにとったことです。しかし見方によれば、行政の対策ミスを問題が大きくならない事前にフォローしたともいえそうですが。
昨30日付けの農水省の「プレスリリース」は、233例目~238 例目の疑似患畜を確認したこと。その結果、累計は163,492頭(牛30,002頭、豚133,474頭、山羊8頭、羊8頭)になったことを報じています。連日新たな症例が発見されており、これはひどい。それにつけても、今回の口蹄疫の対応といい、普天間基地移設問題といい、鳩山内閣の迷走ぶりがオーバーラップするのは私だけでしょうか。
★脈絡のないきょうの一行
社民党、連立を離脱。識見だが、〝お代わり〟に公明党が入ったら嗤うね。