水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)施政方針演説を嗤う 12/01/30
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「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/
「私は、大好きな日本を守りたいのです。この美しいふるさとを未来に引き継いでいきたいのです。私は、真に日本のためになることを、どこまでも粘り強く訴えつづけます。」これは1月24日に国会で行われた野田佳彦総理大臣の施政方針演説(以下、演説)のむすびの部分です。いいことを言っていますね。が、もう少し中身を吟味してみましょう。
この演説の内容について、自民党が食い下がっている問題があります。野田さんが自民党の歴代首相の言葉を引用したことについてです。引用は福田さんと麻生さんの二人にわたっていますが、内容は与野党が協力しあって国政を動かしていこうと呼びかけている部分です。つまり野田さんは「先輩総理大臣もそう言っているのだから、自民党よ、君たちも協力せよ」といいたいのでしょう。
それを自民党は撤回せよと迫っているのですが、私には目くそと鼻くそが喧嘩しているようにしか聞こえません。つまるところ自民党も民主党も、同じ穴のムジナなのですから、そんなことはどうでもいいことなのではないでしょうか。もっと本筋である国民のくらしをどうするのかということについて議論してほしいものです。いや、もしかしたら両党はそれをやりたくないから、目くそ鼻くそ、のやり取りをしているのかもしれませんね。
この演説で、私が、おや? と思ったのは三つの優先課題の部分です。小ブログでも紹介しましたが、昨年12月時点で野田さんは①消費税②TPP③安全保障(普天間基地移転問題)――の3つについて「捨て石になってでもやり抜く」と発言し、その後「不退転の決意」で実行する、と、並々ならぬ気合いを入れていました。
ところが今度の演説では①大震災からの復旧・復興②原発事故との戦い③日本経済の再生――という三つに変わっています。1ヶ月足らずでこの変化は、昨年のものが批判されたことの反映かもしれませんが、「捨て石」という表現がいかに軽いものであったかを物語っています。もっとも、その捨て石とやらは〝軽石〟だったのかもしれませんが…。
この三つの優先課題とやらを仕分けしてみると、大震災からの復旧・復興は、まあいいでしょう。ところが「原発事故との戦い」は少し変です。なぜなら、野田さんはついこの前、同事故の収束宣言を出したばかりではありませんか。収束をしたモノと戦うことを宣言しているわけですが、矛盾も甚だしい。
「収束」というのは本来、除染などがすすみ人々が帰れる状態にもどったときに使うべき言葉です。それが、いわゆる冷温停止状態になったことを理由にして宣言を出したのです。これに対して、地元・福島県をはじめ多くの科学者が批判しましたが道理に叶っています。その結果、『原発事故との戦い』を言わざるをえなかったのかもしれませんね。(次回につづく)
★脈絡のないきょうの一行
年金支給額、4月から0.3%引き下げ。預金金利より高い率。生活直撃だ。
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演説は「アジア太平洋の世紀を開く外交・安全保障」を強調しています。アジア太平洋に目を向けることは、とりあえずよしとしましょう。しかし、その中身が自民党と同じように日米同盟を基軸にする、と謳っています。これはいけません。
アジア太平洋の概念は、南はオーストラリアから太平洋に隣接するいわゆる極東アジアとオセアニアのことをいいます。とすれば、太平洋の向こう側にあるアメリカよりもすぐ近くの中国や韓国、そしてタイやベトナムなど東アジア諸国に目を向けるべきではないでしょうか。ところが、アメリカを中心にしてアジア太平洋地域の繁栄を図るとしているのです。その部分をみてみましょう。
「私は、アジア太平洋地域の安定と繁栄を実現するため、日米同盟を基軸としつつ、幅広い国や地域が参加する枠組みも活用しながら、この地域の秩序とルールづくりに主体的な役割を果たしていくことがわが国の外交の基本であると考えます。」
と述べながら、「TPP協定への交渉参加に向けて協議を進める」と強調しています。これは少し言い方を変えてみると『アメリカを基軸にしたTPPに参加していく』ということにほかなりません。アメリカ追随そのものです。かつて、自民党政権時代でさえ、ここまで露骨な言い方はしていません。
もう一つ気になるのは、「この地域の秩序とルールづくりに主体的な役割を果たしていく」ことを強調していることです。このもの言いは、アジア太平洋地域の国々に対する不遜な態度といわざるをえないからです。主体的な役割を果たすことは否定しませんが、日米同盟強化を前提としていることは、危険そのものです。9条問題を含め、このもの言いにきな臭さを感じるのは私だけでしょうか。
演説は、むすびの最後に「政治を変えましょう。苦難を乗り越えようとする国民に力を与えこの国の未来を切り開くために、今こそ『大きな政治』を、『決断する政治』をともに成し遂げようではありませんか」と述べています。「国民に力を与え」という言い方は、典型的な上から目線ですが、野田さんのおっしゃるとおり、解散・総選挙で政治を変えるしか、この閉塞状況は打ち破れない、そんな気分がしています。
★脈絡のないきょうの一行
ノルウェーのストルテンベルグ首相がホロコースト関与を謝罪。歴史への真摯な対応に大きな拍手をおくりたい。