水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)『憂』-どうしたメディア 12/01/17
![]()
「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/
今年の一文字を想定した「憂」に関連して派遣法改悪、国会議員の定数削減、改憲、年金減額問題などを取り上げたいと思っていましたが、1月も半ばになってしまい〝年頭〟から遠ざかってしまいましたので、これらは別に譲ることにして、このコーナーの最後としてメディアを取り上げたいと思います。昨15日づけのしんぶん「赤旗」は、大手紙の社説を取り上げ厳しく批判しています。この批判、私も全く同感です。
赤旗は「大手紙社説この異常」、「消費増税先にありき」、「国民無視し政権後押し」の大きな見出しを立てて、1面に特集しました。内容は朝日、毎日、読売、日経、産経の大手新聞社の14日の社説が、消費税増税支援を一斉に主張したことを取り上げたものです。
同じような報道が過去にもあったことを覚えておいででしょうか。一つは、1987年の国鉄の分割・民営化のとき。そしてもう一つは1994年の衆議院に小選挙区制を導入したときの2度です。国鉄の分割・民営化のときはまず国労バッシングから始まりました。先日も若干触れましたが、「カラスの泣かない日はあっても、国鉄職員(国労組合員)のヤミ・ポカ報道のない日はない」と言われるほど、執拗な国労攻撃が行われました。
たとえば、仕事が終わり汚れた身体をきれいにするために風呂に入ると、「勤務中の入浴」と言って報道されるなどひどいものでした。仕事が終わって(時間内に)風呂に入ることは、労使間で取り決めたことの一つでした。しかしメディアはそれを飛び越え、「勤務時間中の入浴はけしからん」と批判したのです。
何故、国労攻撃だったのか。分割・民営化に一番反対したのは国労だったからです。当局にとって、国労はいわば〝目の上のたんこぶ〟だったのです。その攻撃にメディアが手を貸した、すなわち国鉄の分割・民営化を推進したのです。
小選挙区制もそうでした。ところがこの制度を導入するまえ、同じことを画策した鳩山一郎内閣のハトマンダー(1956年)、田中角栄内閣のカクマンダー(1973年)のとき、メディアは民主主義に反するもの、として一斉に反対し日の目は見ませんでした。しかし、1994年のときは「第8次選挙制度審議会」委員に大手新聞各社の代表をはじめ、放送局などメディア関係者が大量に就任したうえ、その委員長に読売新聞社の社長が就任したのです。
審議委員にメディア関係者を採用したことは、視点を変えれば、小選挙区制に反対するメディアを封じ込めるためのものだったといえます。しかも、選挙制度を変えるための審議会にもかかわらず、「政治改革」という名称をつけて国民の目を逸らすことを行ったのでした。(次回につづく)
★脈絡のないきょうの一行
増税推進報道のなかでも、世論調査の過半数は「消費税増税ノー」。どうするメディア。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
「2011年報道写真展」が日本新聞博物館(1月14日から4月15日まで、横浜市「関内」駅から徒歩5分、℡045-661-2040)で開かれています。初日に行ってきました。昨年の新聞協会賞を受賞した東日本大震災時の津波が押し寄せてくる様子など、多くの写真が展示されています。入館料は一般・大学生500円(ただし65歳以上は400円)、高校生300円、中学生以下は無料となっています。一見の価値あり、おすすめです。
展示してある半数近くが震災関係ですが、これはやむを得ないことでしょう。そのなかで二つ、気になるものがありました。一つは、母を津波で亡くした女の子が、覚えたての字で「いきているといいね おげんきで」と紙に書きながら寝入っている様子を撮ったもの。その姿の愛らしさと、その子の思いに涙を誘われました。
もう一つは、東電福島第一原発の事故直後の写真。最近はテレビもそのときの様子を流さなくなりましたが、凄まじい、の一言です。空からですがその写真を一見しただけで、未だに収束していない理由がわかります。写真が伝える現実の重みが、しっかり伝わってきます。
写真は目を通して、現実や真実を見せてくれます。その役割を新聞は果たしているにもかかわらず、消費税問題になったとたんにトーンは国民の目を塞いでしまっています。小選挙区制をメディアが一斉に推進する報道をしたとき、当時マスコミ学で教鞭をとっていた創価大学の新井直之教授(故人)は、「総マスコミ状況」という表現をしました。まさにいま、消費税問題をめぐってそういう〝状況〟になっていると言えます。
報道写真展の会場から1フロアー上には、新聞の歴史が展示してあります。全国の地方紙を含む新聞の現物もあります。明治以降のものが主ですが、第1回全国新聞週間(1948年10月1日から)の標語が目につきました。
*日米共用標語/あらゆる自由は知る権利から
*日本の代表標語/あなたは自由を守れ、新聞はあなたを守る
日米共用標語があったことは面白いのですが、これらの標語は「自由」を渇望していた戦後のこの時代を象徴しています。ところが、2年後の6月に共産党の機関紙「アカハタ」(当時の題字)が無期限停刊を受けるという弾圧行われています。歴史は歴史として、いま新聞は、メディアは、ジャーナリズムは、あなた=国民を守っているでしょうか。
ジャーナリズムとは「反権力」「反戦・平和」「民主主義・人権擁護」を貫くことに神髄があると私は考えます。メディアが〝第四権力〟とならないように、しっかり監視する必要がありそうです。それにつけても、メディアは『憂』の一つです。
★脈絡のないきょうの一行
最高裁、「君が代訴訟」で裁量権の逸脱だとして処分を取り消す判決。少し、風が通った。