水久保文明(JCJ会員 千代田区労協事務局長 元毎日新聞労組書記)『憂』-消費税増税 12/01/05

 

「ヘボやんの独り言」より転載 http://96k.blog98.fc2.com/

 めでたさも中くらい、の新年気分ですが今年もよろしくお願いいたします。

 年末行事の一つ、「今年の文字」を逆バージョンで年頭に考えてみました。「興」「希」「前」「笑」「喜」などが浮かんでは消え、悩みましたが、結局は最初に考えた『憂』(ゆう、うれい)にしました。

 消費税増税、TPP参加、普天間基地移転、派遣法改悪、国会議員の定数削減、改憲、年金減額、公務員の賃下げ――それらに加えて、原発事故の収拾、そして大震災からの復興という課題。

 増税などの動きを敢えて「攻撃」と言わせていただきます。当然、攻撃というからにはする側と、される側があります。される側、即ち、国民の目線からこの問題を考えてみます。する側は、当然、政府であり政権政党であり、マルクス的にいう独占資本です。

 今回のこの攻撃、ハンパではありません。とにかくやみ雲的、大震災を利用した便乗的、そして断末魔的攻撃といえそうです。つまり裏を返せば、そうせざるを得ない状況にあの人たち、つまり攻撃をする側が追い込まれていることの証左でもあります。全ての問題を解析するには紙数がかかりすぎますので、いくつかを取り上げてみることにします。

 まず、消費税問題。姑息ですねー、民主党は。党内の反対意見を押さえつけるために、実施予定を半年遅らせました。まるで朝三暮四ですね。消費税増税に反対していた議員は、結果的には同じなのに、えさの数を朝と夕方を変えて納得させられた、サルかと思ってしまいました(笑)。

※朝三暮四/中国、宋の狙公(そこう)が、飼っている猿にトチの実を与えるのに、朝に三つ、暮れに四つやると言うと猿が少ないと怒ったため、朝に四つ、暮れに三つやると言うと、たいそう喜んだという「荘子」斉物論などに見える故事から(大辞泉)。

 消費税は、「逆累進課税」といわれます。一律に税金がかかるため、低所得者ほど負担が重くなるからです。年収200万円以下のワーキングプアといわれる人が1000万人を超え、生活保護受給者が200万所帯を超える日本の現実を見たとき、消費税増税は国民に「死ね」というに等しいといわざるをえません。

 そして真に恐ろしいのは、国民負担増のみならず経済に大きな打撃を与えることです。増税になれば国民は買い控えをします。つまり購買力が低下するのです。購買力が低下するということはモノが売れなくなるということです。モノが売れなくなるということは、カネの回りが悪くなる、すなわち不況に陥るということです。「内需拡大」が大泣きします。

 事はそれだけで終わりません。モノが売れなくなるとモノをつくらなくなります。モノを作らなくなるということは、つまり、失業者が増大するということです。失業者の増大は、さらなる購買力低下を招き「負のスパイラル」を引き起こします。(次回につづく)

★脈絡のないきょうの一行
全力疾走の東洋大学、箱根駅伝新記録で優勝。すごい。暗い世相の明るい話題。

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 「負のスパイラル」の極限状態が、恐慌です。日本の消費税増税は、間違いなく大不況、ひいては世界恐慌をもたらす原因をつくることになると思います。なぜなら、世界経済が冷え込んでいるなかでの庶民増税は、その国の経済を凍らせることにつながるからです。

 とりわけ日本は世界経済発展の牽引車的役割を果たしており、その影響は計り知れません。現在の円高傾向は遅からず崩壊する、と、少なくないアナリストが指摘していますがそのスピードにも拍車がかかることになるでしょう。経済問題の素人である私にさえ分かるこの論理を無視して、増税を何故進めようとするのでしょうか。

 消費税増税の理由に、あの人たちは「財政立て直し」「震災復興」を挙げます。たしかに財政立て直しは必要です。その建て直しを行うにあたって大事なことは、財政危機の原因がどこにあったのかということを明らかにすることです。ところが、何一つ議論(国民の前に明らかに)されていません。問題点の解明のない解決策(増税)は、砂上の楼閣にすぎません。

 震災復興にしてもしかりです。被災者に増税を押し付けてどうしようというのでしょうか。消費税増税はけが人や病人に、もっと働けとムチを打つようなものです。これはひどい。自民党が政権を取っていた時代にすらなかったことです。だから、保守本流の小沢一郎さんは「反対」を唱えているのかもしれませんが…。

 では、財政立て直しはどうすればいいのでしょうか。紙数がありませんので、一つだけ紹介しましょう。お金のあるところ(人)から、応分の負担をしてもらうという方法です。日本では大企業を中心とした企業(約5000社)には、内部留保金が約266兆円(2010年度)あります。よくぞ溜め込んだものです。それは、非正規雇用拡大による人件費削減や、度重なる法人税の優遇税制などによって得たものです。

 これらは見方を変えると、もともとは国民の懐から出たものです。それらを吐き出していただくことは、何の矛盾もありません。吐き出し方も簡単です。労働者の賃金の押し上げとして活用してもらうのです。賃金が上がれば所得税は増え、消費税増税は必要なくなります。

 もちろん、不要不急の出費(歳出)も抑える必要があります。最近、またしても屋上屋ともいうべき八ツ場ダム建設再開が浮上しました。これは無駄遣いのゾンビみたいなもので、度し難い決定です。この国の為政者は、真剣に財政再建を考えているのかを疑いたくなります。

 消費税増税は、国民を負のスパイラルに巻き込んで行く――「憂」の一つです。それをメディアが後押ししている姿もまた、異様ですが、この問題は別に譲りたいと思います。

★脈絡のないきょうの一行
広島の原爆碑にペンキスプレー。これは単なるいたずらではなく、平和への暴力だ。